感激　オーストラリアの超お買い得泡

　オーストラリアでは冷涼な産地の開発が進んでいる。ヴィクトリア州やタスマニア島で、ブルゴーニュ品種やスパークリングワインの傑作が生まれている。

　最近飲んだ中では、タルターニのブリュット・タシェ2009が印象深かった。フランスにルーツを持つカリフォルニア・ナパヴァレーのクロ・デュ・ヴァルが、ヴィクトリア州に姉妹ワイナリーとして開いた。

　クロ・デュ・ヴァルは、ボルドーのワイン商の子孫ジョン・ゴレとボルドー出身の醸造家ベルナール・ポーテが発展させたワイナリーとして有名。このタルターニはそのゴレがオーストラリアの可能性を探って開いた。畑の購入が1972年だから、ずいぶんと先見の明があった。

　澄んだサーモンピンク色。すっきりした酸があり、切れ味がいい。気泡は細かく、嫌な雑味がない。何より涼しい感じがするのがいい。カリフォルニアのアンダーソン・ヴァレーでも、どこか熟したニュアンスを感じるから。

　ヴィクトリアやタスマニアなど、南氷洋の影響を受けている畑のブドウがいいのだろう。シャルドネ 57％ 、ピノ・ノワール 38％、ピノ・ムニエ5％。タシェ（Tache） は「色の付いた」という意味のフランス語。赤ワインのリキュールを加えているそうだ。製法はどうあれ、おいしければいい。

　同じヴィクトリア州のマセドン・レンジに、ドメーヌ・シャンドンは本拠地を置いているが、タルターニとはまた違った雰囲気を持っている。

　このスパークリングの最大のうりは価格。2010は2800円。2008は2500円だった。この価格帯で買えるカバ、クレマン・ド・ブルゴーニュ、カリフォルニアのスパークリングなどと比べても、お買い得だと思う。泡物は圧倒的にシャンパーニュしか飲まない私が言うのだから信じてほしい。3本くらいまとめ買いしても後悔しない。

（2013年10月）
タルターニ・ヴィンヤーズ　ブリュット・タシェ　2008
輸入元：JALUX　都内で2000円で購入
週に一度は飲みたい度：90点