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中華のよき相棒 ワシントン州のリースリング

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 リースリングは貴婦人だ。優雅さと包容力でかなうワインはほかに思いつかない。

 シャトー・サン・ミッシェルには、いい思い出がある。シリコン・ヴァレーで出会った。

 羽田の深夜便がサンフランシスコに着くのは夕方。目覚めたら前日の夕方に戻っている感覚だ。車を借りてサンノゼへ。寝るだけの安いモーテルを予約しておいた。翌朝のリッジに向かうのに近い場所にあるのが最大の理由。食事をして寝ないと、体が現地時間にならない。無理にでも何か食べないと。

 宿の近くにあったのは、デニーズと和食屋と中華。シリコン・ヴァレーだけあって、駐車場はポルシェからフォードまで様々。しつこいデニーズも、高い和食もいらない。中華レストランで15ドルのあんかけ焼きそばを持ち帰った。米国のテイクアウトは、骨壷みたいな箱に入っている。麺と具が絡んで、グチャグチャ。日本人のように食感を解する民族ではないので、仕方ない。

 向かいにリカーショップが開いていた。店長は韓国人。冷蔵庫に冷えていた10数ドルのドライ・リースリングを買った。期待はしていなかった。冷蔵庫に入っているのは安ワインだ。部屋で開けて、目が覚めた。ほのかに甘く、リンゴやかすかに重油香。酸がきれいで、いくらでも飲みたくなる。ノドの渇きを癒してくれる。

 これがまた、しつこい焼きそばにぴったり。ラードのしつこさを断ち切り、いくらでも食べられる。日本の1・5倍の量を完食してしまった。リースリングが酢の役割を果たしていた。スクリューキャップなので、翌朝も一口飲んだ。持ちがいい。

 日本に帰って半年したら、ファインズが輸入すると知った。米国で流通するのはドライ・リースリング。日本はより甘みが強い。ドライ・リースリングより、日本向けリースリングは4倍ほど残糖が多いという。日本向けは2.23g/100ml。それでも、酸があるからくどい感じはない。モーゼルに近い。ドクター・ローゼンがコンサルタントしているから当たり前だ。

 熱血漢のエルンスト・ローゼンは、ジャンシス・ロビンソンMWが半甘口の自分のモーゼルを南仏の別荘のハンモックで楽しむことを、自慢していた。このワインも、別荘があればそうしたい。なくても、中華料理とはよき相棒だ。

(2013年10月)
シャトー・サン・ミッシェル コロンビア・ヴァレー リースリング 2011
輸入元:ファインズ 参考上代2150円
週に一度は飲みたい度:88点

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