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ボルドー・サンテミリオンの起業家で、シャトー・パヴィをプルミエ・グラン・クリュ・クラッセAに昇格させたジェラール・ペルスが19日に亡くなった。75歳だった。長くがんと闘っていた。
ペルスは1949年、パリ近郊の質素な大家族に生まれた。11人兄弟の3番目で長男だった。15歳で学校を辞めて家族を支えるために働き始めた。市場の果物と野菜の屋台を始めて、睡眠時間を削って働き、スーパーマーケットのチェーンで財を成した。ワインの仕入れのためにボルドーに足を運び、サンテミリオンに魅了された。
1993年に妻のシャンタルとともにシャトー・モンブスケを買収した。シャトー・パヴィ・デュセスに続いて、1998年に4000万ユーロでシャトー・パヴィを買収した。セメント製タンクを木製タンクに変えて、温度調節装置を追加した。パヴィの大規模な植え替えを行い、メルローの比率を下げてカベルネ・フランとカベルネ・ソーヴィニヨンを増やした。収量を下げて新樽比率を高めた。ミシェル・ロランをコンサルタントに迎えて、多額の投資を行った。
7月と8月が猛暑だったパヴィ2003は、プリムール試飲で、ジャンシス・ロビンソンが「ポートワインのような甘さ」「レイトハーベストのジンファンデルを思わせると」とコメントしたのに対し、ロバート・パーカーが高く評価して、両者の論争が大きな話題となった。パーカーは2015年の垂直試飲で、2003年に96点、2000年と2005年に100点を与えた。
2003年のパヴィは注目されて、プリムール商戦で2時間で売り切れた。2人の論争はクラシックなボルドーを好む英国のメディアと、パーカーに代表される果実味たっぷりのスタイルを好む米国のメディアの対立の構造を映していた。パーカーはこの後、世界的な影響力をますます強めることになる。
2003年のパヴィのアルコール度は14%。現在の標準からすると控えめだった。近年のブレンド比率はメルロー50%、カベルネ・フラン32%、カベルネ・ソーヴィニヨン18%。石灰岩のプラトーから得られるフレッシュ感を活かしたスタイルになっている。
ペルスはサンテミリオンに2つ星レストラン、高級ホテルなど小さな帝国を築いて、2012年にパヴィをオーゾンヌとシュヴァル・ブランに次ぐプルミエ・グラン・クリュ・クラッセAに引き上げた。
フランスの常で、立身出世して短期間に多額の投資で成功したペルスはやっかみの対象となったが、世界遺産となったサンテミリオンの知名度とワインの品質を上げたペルスは、地元では尊敬されている。
パヴィ、パヴィ・デュセス、ベルヴュー・モンドット、クロ・リュネルを擁するヴィニョーブル・ペルスは妻のシャンタル、娘のアンジェリーク、義理の息子エンリケ・ダ・コスタが継承している。

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