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ピノ・ノワールに強いメゾンといえば、だれもがボランジェを挙げるだろうが、フィリポナも忘れてはいけない。クロ・デ・ゴワセにばかり光が当たるが、ここには「1522」や「ブラン・ド・ノワール」もある。両社とも長い歴史を有するが、違いがあるとすれば、フィリポナは15代目シャルル・フィリポナが1999年に経営を引き継いで、黄金時代の栄光を取り戻したことだろう。
16世紀にさかのぼる栽培家の一族出身のシャルル・フィリポナの父ルネはモエ・エ・シャンドンで醸造長を務め、ドン・ペリニヨンの基盤を築いた1人。シャルルも1990年にセラー・マスターに就任したリシャール・ジョフロワの下で多くを学んだ。
区画別醸造、温度管理、小樽の導入、オーガニックへの転換……ル・ギド・デ・メイユール・ヴァン・ド・フランス2023で3つ星昇格。ラ・ルヴュ・デュ・ヴァン・ド・フランス2024の年間最優秀ブランドに選ばれた。
広大な畑からモザイクのように精密なブレンドを築いたドン・ペリニヨンとは対称的に、シャルルは単一畑に力を入れた。シャンパーニュはテロワールの生む優れたワインという考えに基づいていた。1935年に初のモノポール「クロ・デ・ゴワス」を生んだメゾンだから当然の発想である。
3つの単一畑始めたシャルル・フィリポナ
ル・レオンのピノ・ノワールが軸の「1522」
マレイユ・シュール・アイから「ラ・レミッソンヌ」、アイから「レ・レオン」、クロ・デ・ゴワスの丘から「レ・サントル」という3つの単一畑を生み出した。
「1522」はル・レオンのピノ・ノワールを軸に、コート・デ・ブランのグランクリュのシャルドネをブレンドして、濃厚さとミネラル感のコンビネーションを表現する。ボランジェはアイとヴェルズネイのピノ・ノワールを使い分けるが、フィリポナはアイとマレイユ・シュール・アイのピノ・ノワールが基盤だ。
「フィリポナ 1522 エクストラ・ブリュット 2019」(Philipponnat 1522 Extra-Brut 2019)はアイのル・レオン、マイィ、ヴェルジーのピノ・ノワール77%、ル・メニル・シュール・オジェのシャルドネ28%。クランベリー、ブラッドオレンジ、ブリオッシュ、バラの花弁、シャキッとした酸味、心地よい赤系果実、バランスがとれている。丸みがありクリーミー、エレガントな余韻が長い。ドザージュは4.25g/L。94点。
「フィリポナ 1522 ロゼ エクストラ・ブリュット 2018」(Philipponnat 1522 Rose Extra-Brut 2018)はブレンドするマレイユの7.5%を含むル・レオンのピノ・ノワール74%とオジェのシャルドネ26%。ピンク・グレープフルーツ、ワイルドベリー、ミント、芳醇で、果実味豊かなテクスチャー、キレのある酸味、構造はしっかりしている。繊細なフェノール、濃密で香り高い。チョーキーなフィニッシュ。デゴルジュマンは2025年10月。ドザージュは4.5g/L。93点。
1522の安定感と熟成からくる芳醇さを確認したところで、澱とともにセラーから動かさず長期熟成(long vieillissement)したクロ・デ・ゴワスも試飲した。世界中のコアな顧客に向けて、ラ・プラス・ド・ボルドー経由で数百本が取引されている。ノンマロ。
テクスチャー、香り、深み生む長期熟成
ボランジェRD、ジャクソンDT、エグリ・ウリーエV.P.、クリスタルのレイト・リリースなどと同様の手法で長期間にわたり熟成される。長期の瓶内熟成は繊細なテクスチャー、複雑な香り、深みのある風味を生み出す。ワイン的な発展をする。
「フィリポナ クロ・デ・ゴワス L.V. 1998」 (Philipponnat Clos des Goisses L.V. 1998)は2023年3月デゴルジュマン。暑くて乾燥した年だ。柔らかい口当たりで洗練されている。熟れた柿、ドライローズ、濡れた落ち葉、ハチミツ、スモーキーでうまみが凝縮されている。肉厚で骨格が太い。四半世紀もセラーで動かさなかったボトルはフレッシュで、圧倒的なエネルギーが詰まっている。余韻に塩気と濡れたチョーク。2年半前より深みが増した。ピノ・ノワール70%、シャルドネ30%。ドザージュは4.5g/L。98点。
「フィリポナ クロ・デ・ゴワス L.V. 2000」 (Philipponnat Clos des Goisses L.V. 2000)は黄桃のコンポート、オレンジオイル、リコリス、モカ、目が覚めるほど生き生きしていている。豊満に広がり彫りが深い。多層的なアロマが幾重にも折り重なり、生命力にあふれている。クリーミーなムースの素晴らしいワイン。チョーキーなミネラル感に縁取られた余韻が続く。デゴルジュマンは2025年3月。98点。ドザージュは4.5g/L。
今年秋のラ・プラス・ド・ボルドー商戦では、クロ・デ・ゴワス L.V. 2001年がリリースされる。
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