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ビルカール・サルモンのここ10年の品質向上は素晴らしい。プレスティージュ・キュヴェは元々、見事だったが、エントリーレベルは見違えるようになった。メゾンでまとめて試飲してあらためて認識した。
出発点はNV「ブリュット・レゼルヴ」の品質を見直すプロジェクトを始めた2019年からだろう。リットルあたりのドザージュを3グラムに減らした。瓶熟成期間は20か月間増やして、50か月間に伸ばした。5年がかりで2020年ベースの「ル・レゼルヴ」の完成にこぎつけた。
リザーヴ比率高めてドザージュは減少
栽培は自社畑100haの有機栽培への転換を始め、2025年に有機認証を取得した。一方で、2018年から80hlの大樽を導入した。2006年からパーペチュアル・リザーヴを含むリザーヴワインを使用している。ル・レゼルヴのリザーヴワイン比率は50%を超えている。
また、2023年からベース・ヴィンテージやデゴルジュマンの日付、ブレンド比率などのわかるIDコード「MY ORIGIN」の表記を始めた。透明性を高めて、トレイサビリティを求める消費者に応えている。
「ビルカール・サルモン ル・レゼルヴ」(Billecart-Salmon Le Reserve)は2020年ベース。ピノ・ノワール28%、シャルドネ29%、ムニエ43%。2006年までさかのぼる15ヴィンテージを含むリザーヴワインが71%。洋ナシ、白桃、オレンジの皮、スミレ、生き生きとしていて、引き締まっている。鮮やかな酸味、クリスタルなテクスチャー、繊細でクリーンな余韻が続く。瓶熟成期間は50か月間。ノンヴィンテージというよりマルチヴィンテージの領域に達している。ドザージュは3g/L。91点。
「ビルカール・サルモン ル・ブラン・ド・ブラン」(Billecart-Salmon Le Blanc de Blancs)は2018年ベース。アヴィーズ、シュイィ、クラマン、メニル・シュール・オジェのブレンド。青りんご、レモンコンフィ、濡れた石、アーモンド。明るい果実味、突き刺すような酸、焦点があって調和している。ほのかにトースティで、濡れたチョークのミネラル感、繊細な緊張感が持続する。ステンレスタンクで醸造熟成した。ドザージュは3.9g/L。93点。
「ビルカール・サルモン ルイ・サルモン ブラン・ド・ブラン 2013」(Billecart-Salmon Louis Salmon 2013)はエリザベス・サルモンの兄ルイにオマージュを捧げるブラン・ド・ブラン。2013はクラシックなヴィンテージ。グランクリュのクラマン、シュイィ、メニル・シュール・オジェ、オワリーのブレンド。フローラルで、白いゆり、レモンコンフィ、切りたてのパイナップル、ブリオッシュ、キレのある酸、チョーキーなテクスチャー。純粋な果実味、透明感に包まれる。ドザージュは4g/L。93点。
骨格と優雅さを兼ね備えるロゼ
「ビルカール・サルモン ル・ロゼ」(Billecart-Salmon Le Rose)は涼しかった2021年ベース。ピノ・ノワール24%、シャルドネ45%、ムニエ31%。4ヴィンテージのリザーヴワイン56%をブレンド。ラズベリー、ワイルドベリー、バラの花弁、しなやかな果実味、キリッとした酸味、多めのシャルドネが繊細なタッチを加えて生き生きしている。親しみやすくエレガント。ドザージュは4.9g/L。92点。
「ビルカール・サルモン エリザベス・サルモン ロゼ 2013」(Billecart-Salmon Elisabeth Salmon Rose 2013)はアイ、マレイユ・シュル・アイ、ブージーのピノ・ノワール53%、オジェ、クラマン、メニル・シュル・オジェのシャルドネ47%。レッドチェリー、アプリコット、ブラッドオレンジ、ペイストリー、リッチでエキゾチック。肉厚で深みがある。しっかりした骨格がありながら、重くならず優雅。フレッシュで華やかな余韻。ドザージュは4.4g/L。96点。
「ビルカール・サルモン ニコラ・フランソワ 2012」(Billecart-Salmon Nicolas Francois 2012)はマレイユ・シュール・アイとアイのピノ・ノワール60%、メニル・シュル・オジェ、シュイィ、アヴィーズのシャルドネ40%。霜害や雹害で低収量の年。アプリコット、砂糖漬けのタンジェリン、洋ナシ、ビスケット、ふくよかでほのかなハチミツの香りが広がる。深みがあり、濃厚な果実が幾層にも折り重なる。濡れたチョークとうまみが持続する余韻。10%の樽がまろやかさを与えている。ドザージュは3.8g/L。96点。
「ビルカール・サルモン ル・スーボワ」(Billecart-Salmon Le Sous Bois)は2018年ベース。リザーヴワインは37%。木樽100%で樹齢の高いブドウを発酵した。ムニエ33%、シャルドネ38%、ピノ・ノワール29%。リンゴ、桃、焼き立てのパン、ドライローズ、トースティで豊かな果実味、オークのフェノールが溶け込んでいてほろ苦みがある。しっかりした骨格、熟成させてバランスが増すだろう。ドザージュは3.9g/L。91点。
醸造責任者フロラン・ニスの貢献
ビルカール・サルモンはマチュー・ローラン・ビルカールが2018年にドメーヌを継承し、セラー・マスターのフロラン・ニスとともに、刷新を進めている。ビオディナミへの転換、228Lの400個の樽と80hlの大型樽を使った醸造で、エレガンスに力強さと構造が加わった。
試飲コミティーをけん引するニスは穏やかな人柄だが「クロ・サンティエールはブレンドもないから簡単。ロゼはメゾンのエレガンスを表現するキュヴェで、スタイルを保つために毎年多くの仕事があって難しい」と語った。
テロワールについては、「マレイユ・シュール・アイは表土が深く、モレ・サン・ドニのようなストラクチャーがありアイより酸がある。複雑さはないがエレガント。アイはチョーキーで、ラズベリーやシャクヤクの香りがありエネルギーが豊か」と語った。
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