3度目でおいしくなる、プロジェクト・クアトロのカヴァ

　スペインの星付きレストランでは、口開けに必ずカバを飲んだ。

　フランスのシャンパーニュと同じく、ソムリエがアペリティフに勧めてくる。値段は安い。グラスでせいぜい15ユーロまで。見たことないものが多く、レコルタン・マニピュランを飲んでいる気分だ。味もしっかりしている。どこかで飲んだシャンパーニュを20ユーロ以上で出されるよりはるかにいい。

　いいカバは雑味がない。濁った感じや、酸の足りない感じがない。そのうえ、スペインのアミューズにあう。オリーブの実や魚を使ったアミューズにはよくあう。シャンパーニュより果実が熟しているからだろう。

　日本では、バルセロナで飲んだような気の利いたカバには出会えない。それでも、値段が安いから、デイリーなスパークリングとしては重宝する。2000円を切るのは大切なポイントだ。3度に分けて飲めば、高価なプレミアム・ビールを飲むのと価格差も小さい。

　クロ・モンブランの PROYECTO CU4TRO CAVA（プロジェクト・クアトロ・カヴァ）は1800円。悪くない。青リンゴの皮、グレープフルーツ、セージの香り。泡立ちも細かく、嫌なところがない。マカブー 40％、チャレッロ 40％、パレリャーダ 15％、シャルドネ 5％。シルバーに包まれた外観と同じく、モダンな味わいだ。

　スパークリングワインの品質を見分ける方法がある。

　最低でも3度に分けて飲むこと。

　2度目で香りが衰えるようでは論外。3度目でようやく真価を発揮するようでなければ。熟成期間をとったスパークリングなら、ストッパーを2回、開け閉めした程度ではガスも残っている。香味は複雑に進化し、3度目が最もおいしく飲めるはずだ。


　このカバも3度目が最もおいしかった。余韻がふくらむ。ストッパーを外すときに、大きな音がしたほどで、ガスも十分に保たれていた。冷蔵庫に1本常備しておいてもいい。

　難点は残りの量がわからないこと。グラスにどれくらい注いだかを覚えておくしかない。つい飲みすぎて忘れてしまうのだが。

（2013年10月　自宅で）
クロ・モンブラン　 PROYECTO CU4TRO CAVA
輸入元：エノテカ　希望小売価格1800円
週に一度は飲みたい度：85点