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時間との戦い、ボルドー・プリムール試飲会

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 ボルドー・プリムールは社交の場でもある。4月3日の初日の夜、生産者とメディアのディナーが開かれた。
 UGCB(ユニオン・グラン・クリュ・ド・ボルドー)に加盟する格付けシャトーを中心とする130社以上の支配人、醸造責任者らが、ワインを持ち寄り、回し飲みする。2017年はブラーヌ・カントナックで開かれ、2010年あたりが多くテーブルに上っていた。飲んでいるときりがないので、すべて試飲して吐き出す。3時間で20種以上を試しただろうか。私の席の向かいに座っていたのは、カノン・ラ・ガフリエールのナイペルグ伯爵夫人と世界最優秀ソムリエのマルクス・デル・モネゴMWだった。
 隣りもジスクールとデュ・テルトル支配人のアレクサンドル・ヴァン・ビーク、ラトゥール・マルティヤックのトリスタン・クラスマンら大物ばかりなのだが、時に「オオッ」と声が上がり、「回してくれ」と色めきたつワインがある。この夜は、ムートン・ロートシルトの1999がそれだった。1級は飲む機会が少ないようだ。1級の人間は通常ここには出席しないが、技術責任者フィリップ・ダルーアンは、ダルマイヤックとクレール・ミロンも担当しているから、1本だけ持ってきていたのだ。6人くらい離れた彼の席から回ってきた時には空だった。周りからも失望のため息がもれた。
 地区別にまとめた試飲会は、ジロンド川沿いの再開発施設「ハンガー14」で。2日間にわたり、午前9時半から午後2時半まで開かれるが、ゆっくりしていては午後にシャトーを回れない。時間との戦いとなる。1日で約100本。どんなに長くても3時間で終える必要がある。会場からどのシャトーにも1時間はかかる。ランチ明けの午後2時からの1級やスーパーセカンド、あるいは右岸の訪問ができない。1本にかけられるのは長くても2分しかない。
 マルクスがたまたま隣に座ったが、その試飲の早いこと。1時間40分ほどで終えて、席をたった。横目でノートパソコンをちらりと見ると、コメントがびっしり。さすがに、ソムリエとMW、マスター・ソムリエ(MS)のタイトルを持つ鉄人は違う。速度が桁違い。正確さも段違いなのだろう。彼とは、ペトリュス、アンジェリュスなど様々なシャトーでぶつかった。笑顔であいさつはかわすが、いつも無言で、一人でパソコンに向かっていた。プロの仕事人である。
ディナーはグランクリュ尽くし。ナイペルグ伯爵夫人とマルクス・デル・モネゴ。注がれるのはブラーヌ・カントナック2000マグナム
地区別試飲会は1日に約100本
世界のプレスが参加。ワインをすする音だけが響く
下の紙をめくっていき、決められたワインが注がれる
試飲会場はジロンド川沿い
近くにはワイン文化施設のシテ・デュ・ヴァンも

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