アマゾン、自然食品スーパー「ホールフーズ・マーケット」買収

　米国のアマゾン・ドット・コムは、米国にオーガニック食品を広めた高級自然食品スーパーマーケット「ホールフーズ・マーケット」（Whole Foods Market Inc）を、137億ドル（約１兆5200億円）で買収することを発表した。ホールフーズはオーガニック食品、高級総菜、ワインなどを販売している。アマゾンは今回の買収で、食品の実店舗とオンライン販売を融合したビジネスを充実させられる。
　オーガニック食品を主流にしたホールフーズの創業は1978年。全米に460店があり、カナダと英国にも進出している。ライバルのトレーダー・ジョーズなどに比べて高価だが、ミレニアル世代を中心に安全性やおいしさにこだわる消費者の人気が高い。高級総菜も人気で、売り上げの20%を占める。ただ、近年は成長が減速していた。ホールフーズの共同創業者ジョン・マッケイCEOは残留する。
　アマゾンのジェフ・ベゾスCEOは「何百万人もの人々がホールフーズ・マーケットを愛している。最高の自然食品やオーガニック食品を提供し、ヘルシーな食生活を楽しめるようにしている」とコメントした。
　今回の買収は、電子商取引の巨人のスーパーマーケット事業への参入として注目を集めている。米国の食品販売業は年間7000－8000億ドルの規模を誇るが、スーパーの小売販売はアマゾンやウォルマートのオンライン販売で苦境に立たされている。アマゾンは、オンラインで注文したフレッシュな食品や惣菜を実店舗で受け取るサービスを強化すると見られる。また、アマゾンとホールフーズの配送網を利用して、職場や自宅からアプリで注文したフレッシュな食品、ワインやビールを素早く家庭に届けられる。アマゾンは米国やロンドンでビール、ワイン、スピリッツを含む商品を追加料金を付加して短時間で届けるプライム・サービスに力を入れている。
　ブルームバーグが速報した今回の買収は、ニューヨークタイムズやワシントンポスト、CNNなど主要メディアが報道した。食品小売業界の主要な株価が下落し、アマゾンとホールフーズ株は上昇した。アマゾンのネット販売は百貨店の売り上げシェアなどを奪ってきたが、今回は毎日の生活の基盤となる食品の分野で、ネットとリアルを融合させたビジネスを強化する。