世界の最新ワインニュースと試飲レポート

MENU

  1. トップ
  2. 記事一覧
  3. シャトー・マルゴー、ビオロジックに転換

シャトー・マルゴー、ビオロジックに転換

  • FREE
 ボルドー1級、シャトー・マルゴーのポール・ポンタリエ支配人が、史上最高だという2010年を引っ提げて来日した。有機栽培に積極的に取り組む狙いなどを聞いた。

 シャトーでは、ラボラトリーを設けて、スクリューキャップの可能性や有機栽培の実験に取り組んできた。5、6年前に2つの区画でビオディナミとビオロジックを始めた。ビオディナミは効果が明確でなかったので、2012年からグランヴァンの畑はすべてビオロジックで栽培している。

 「ビオロジックに転換しても、ワインの味わいが変わったわけではない。長い歴史の中で、これまでもおいしいワインはできているが、化学薬品が人体に与える影響はよくわからない。将来のことを考えてビオロジックに変えた。ただ、予期せぬ事態への対処が必要になるかもしれないので、ビオロジック認証はとらない」

 シャトーは75ヘクタールの畑を所有するが、畑を拡大はしていない。2010年のパヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴーとシャトー・マルゴーは、高いアルコール度とバランスの良さを備え、砂利土壌に由来するマルゴー独特の繊細さが力強さとうまくミックスされている。パヴィヨン・ルージュの水準の高さは並みのシャトーのグランヴァンに匹敵する。シャトー・マルゴーは50年は保つ古典的な味わい。90%のカベルネ・ソーヴィニヨンに支配された壮麗なたたずまい。

 「現在のパヴィヨン・ルージュは30年前のシャトー・マルゴーに匹敵する。収穫の3分の1がグランヴァン、3分の1がセカンドワイン、残りがサードワインとバルクワインになる。09年からサードワインを始めた。2010年は紛れもなく最高のヴィンテージ。若々しく、スケールが大きい。早くから飲めるが、熟成力もある。これに満足せず、さらに上を目指す」

 1999年と83年も試飲した。99年はスケールこそ小さいが、マルゴーらしい優しさがある。83年は何度か飲んだが、そのたびに発見がある。30年たった今も若々しい。

 「99年は2000年の陰に隠れたが、思い入れが深い。83年は初めて手がけたヴィンテージ。伝統を受け継ぎながら進化するのがシャトー・マルゴーだ。日本文化と似ている。それを支えているのが情熱を注いできたオーナーのコリーヌ・メンツェロプーロスだ」

 ソーヴィニヨン・ブラン100%のパヴィヨン・ブラン・デュ・シャトー・マルゴー2011も試飲した。新樽25%のオーク樽で8ヶ月熟成。トロピカルな風味と繊細なミネラル感が同居している。

 「2011年の白ブドウの収穫は1893年以来の早い時期になった。09、10、11年は最高のヴィンテージ。11年は20~30年は熟成する。白ワインは1920年代から手がけている。メドックで最も早くから取り組んできた。ソーテルヌのように、何度も畑に出て、いい粒のみを収穫する。10ヘクタールの畑があるが、収穫量の30%のみを詰めて、残りはバルクワインとして売る。生産量は1万~1万3000本」

 試飲会はモトックスの主催。香港に駐在する息子ティヴォーと、コリーヌの娘アレクサンドラも同行した。

購読申込のご案内はこちら

会員登録(有料)されると会員様だけの記事が購読ができます。
世界の旬なワイン情報が集まっているので情報収集の時間も短縮できます!

Enjoy Wine Report!! 詳しくはこちら

TOP