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寿司を食べる機会が増えた。大橋健一MWが招へいする海外の専門家と必ず寿司屋で会食するからだ。英国から来日中のジャーナリスト、ジェイミー・グッドと出かけたのは六本木の「鮨 西むら」。せっかくなので、寿司と合う白ワインは何かを、ペアリングの専門家大越基裕ソムリエ含めたワインレポート・チーム3人とジェイミーの4人で探った。
持ち込んだのはシャブリとアシルティコ。いずれも魚介によく合うのは常識。サントリーニ島では、魚やイカのフライとアシルティコを楽しんだ。シャブリと生魚も定番。大橋MWがリサーチ・ペーパーのために調査した東京の高級寿司レストランでも、オンリストの上位にきた。どちらが合うのかを試してみたかった。
持ち込ませていただいのは、「ドメーヌ・モロー・ノーデ シャブリ 2015」「ドメーヌ・ロン・デパキ シャブリ プルミエクリュ レ・リー 2014」と「アシルティコ・バイ・イエア ワイルド・ファーメント 2016」「ドメーヌ・シガラス サントリーニ カヴァリエロス 2015」の計4本。これらとつまみ、握りの相性を真剣に探る。ワイン単体の試飲より神経を使った。
4人の一致した結論は、何にでも合わせやすいのはモロー・ノーデのシャブリ。ドーヴィサと交流の深いモロー・ノーデは、ステンレスタンクで発酵し、ステンレスタンクと600リットルの樽で熟成する。微妙に酸化していて、セイバリーで、フルマロからくる柔らかさがある。江戸前の寿司の酸と塩気、うまみが混然一体となった味わいと調和した。ヴィラージュで、個性が強すぎず、熟した2015年のまろやかさも強みとなった。
同じシャブリでも、プルミエクリュのロン・デパキは還元的なスタイルで、硬さがあり、うちとけず、薄い膜で寿司と隔てられたような感じ。焦点がきちんと合ったワインは、どの寿司とも合う懐の深さに欠け、正確さを求められる。アシルティコはノンマロのせいもあって、酸の強さとヴォリューム感がダイレクトに伝わってきて、ワインの方が勝ってしまう。「簡素なスミイカの握りにはむしろアシルティコがいいのでは」と大橋MW。フード・ペアリングでは右に出る者がない大越さんは「江戸前とは違う、素材重視の札幌の握りなんかにはアシルティコが合う」と。
ジェイミーは朝着いたばかりなのに、旺盛に食べ、試飲コメントをメモし、料理写真家顔負けの写真を撮って、精力的。10台もカメラを持つ自称「オタク」だが、何をするにも、言うにもロジカルで、科学者気質を感じた。翌日はラーメン屋で卵かけご飯も完食した。英米人には珍しい豊かな好奇心と挑戦心。世界を旅し続けるジャーナリストは心身ともにタフだ。ジェイミーは翌朝すぐにFacebookに投稿。英国人の反応は素早く、ワインのプロの間に広まったに違いない。
興味深かったのは、寿司との相性と私のワイン単体の評価は必ずしも一致しなかったこと。
「ドメーヌ・モロー・ノーデ シャブリ 2015」(Domaine Moreau-Naudet Chablis 2015」は、まろやかなテクスチャー、洋ナシ、白桃、ヨード香、スレートのようなミネラル感と心地よい酸があり、エネルギーがつまっている。ややおおらかなフィニッシュ。3520円。89点。
「ドメーヌ・ロン・デパキ シャブリ プルミエクリュ レ・リー 2014」(Domaine Long-Depaquit Chablis Premier Cru Les Lys 2014)はタイトで、牡蠣殻を砕いたようなミネラルタッチ、白い花、青リンゴ、ライム、正確で、キレのよい酸に支えられ、フィニッシュは引き締まっていて長い。100%ステンレスタンクで醸造されている。90点。
「アシルティコ・バイ・イエア ワイルド・ファーメント 2016」(Assyrtiko by Gaia Wild Ferment 2016)はトースティで、ブルゴーニュ的。クリーミィなテクスチャーで、生き生きした酸が元気に踊る。塩気を含んだうまみがあふれ、果実は凝縮している。樽が統合されるのに時間がかかるが、リッチで、魅惑的。ステンレスタンクと225リットルのフレンチオーク、アメリカンオークで、野生酵母により発酵。4499円。93点。
「ドメーヌ・シガラス サントリーニ カヴァリエロス 2015」(Domaine Sigalas Santorini Kavalieros 2015)は豊満で、アーシー、熟したゴールデンデリシャス、オイリーなテクスチャーで、塩気とほろ苦さが入り混じったうまみあふれるスタイル。ストーニーなフィニッシュ。6800円。93点。
寿司で満腹したのだが、そのままでは名残惜しく、歩いて数分のワインバー「Maxvin」へ。佐藤陽一さんにお任せして、ブラインド・テイスティングでお遊び。IWCのコ・チェアマンとして世界のトップに立つ2人のプロにしても正解にいたらず。ただ、ジェイミーの産地を煮詰めるロジカルなアプローチは勉強になった。私のリオハは大きく外し、大越さんのサンジョヴェーゼはかなりいい線。答えはルチェンテ1997だった。
持ち込んだのはシャブリとアシルティコ。いずれも魚介によく合うのは常識。サントリーニ島では、魚やイカのフライとアシルティコを楽しんだ。シャブリと生魚も定番。大橋MWがリサーチ・ペーパーのために調査した東京の高級寿司レストランでも、オンリストの上位にきた。どちらが合うのかを試してみたかった。
持ち込ませていただいのは、「ドメーヌ・モロー・ノーデ シャブリ 2015」「ドメーヌ・ロン・デパキ シャブリ プルミエクリュ レ・リー 2014」と「アシルティコ・バイ・イエア ワイルド・ファーメント 2016」「ドメーヌ・シガラス サントリーニ カヴァリエロス 2015」の計4本。これらとつまみ、握りの相性を真剣に探る。ワイン単体の試飲より神経を使った。
4人の一致した結論は、何にでも合わせやすいのはモロー・ノーデのシャブリ。ドーヴィサと交流の深いモロー・ノーデは、ステンレスタンクで発酵し、ステンレスタンクと600リットルの樽で熟成する。微妙に酸化していて、セイバリーで、フルマロからくる柔らかさがある。江戸前の寿司の酸と塩気、うまみが混然一体となった味わいと調和した。ヴィラージュで、個性が強すぎず、熟した2015年のまろやかさも強みとなった。
同じシャブリでも、プルミエクリュのロン・デパキは還元的なスタイルで、硬さがあり、うちとけず、薄い膜で寿司と隔てられたような感じ。焦点がきちんと合ったワインは、どの寿司とも合う懐の深さに欠け、正確さを求められる。アシルティコはノンマロのせいもあって、酸の強さとヴォリューム感がダイレクトに伝わってきて、ワインの方が勝ってしまう。「簡素なスミイカの握りにはむしろアシルティコがいいのでは」と大橋MW。フード・ペアリングでは右に出る者がない大越さんは「江戸前とは違う、素材重視の札幌の握りなんかにはアシルティコが合う」と。
ジェイミーは朝着いたばかりなのに、旺盛に食べ、試飲コメントをメモし、料理写真家顔負けの写真を撮って、精力的。10台もカメラを持つ自称「オタク」だが、何をするにも、言うにもロジカルで、科学者気質を感じた。翌日はラーメン屋で卵かけご飯も完食した。英米人には珍しい豊かな好奇心と挑戦心。世界を旅し続けるジャーナリストは心身ともにタフだ。ジェイミーは翌朝すぐにFacebookに投稿。英国人の反応は素早く、ワインのプロの間に広まったに違いない。
興味深かったのは、寿司との相性と私のワイン単体の評価は必ずしも一致しなかったこと。
「ドメーヌ・モロー・ノーデ シャブリ 2015」(Domaine Moreau-Naudet Chablis 2015」は、まろやかなテクスチャー、洋ナシ、白桃、ヨード香、スレートのようなミネラル感と心地よい酸があり、エネルギーがつまっている。ややおおらかなフィニッシュ。3520円。89点。
「ドメーヌ・ロン・デパキ シャブリ プルミエクリュ レ・リー 2014」(Domaine Long-Depaquit Chablis Premier Cru Les Lys 2014)はタイトで、牡蠣殻を砕いたようなミネラルタッチ、白い花、青リンゴ、ライム、正確で、キレのよい酸に支えられ、フィニッシュは引き締まっていて長い。100%ステンレスタンクで醸造されている。90点。
「アシルティコ・バイ・イエア ワイルド・ファーメント 2016」(Assyrtiko by Gaia Wild Ferment 2016)はトースティで、ブルゴーニュ的。クリーミィなテクスチャーで、生き生きした酸が元気に踊る。塩気を含んだうまみがあふれ、果実は凝縮している。樽が統合されるのに時間がかかるが、リッチで、魅惑的。ステンレスタンクと225リットルのフレンチオーク、アメリカンオークで、野生酵母により発酵。4499円。93点。
「ドメーヌ・シガラス サントリーニ カヴァリエロス 2015」(Domaine Sigalas Santorini Kavalieros 2015)は豊満で、アーシー、熟したゴールデンデリシャス、オイリーなテクスチャーで、塩気とほろ苦さが入り混じったうまみあふれるスタイル。ストーニーなフィニッシュ。6800円。93点。
寿司で満腹したのだが、そのままでは名残惜しく、歩いて数分のワインバー「Maxvin」へ。佐藤陽一さんにお任せして、ブラインド・テイスティングでお遊び。IWCのコ・チェアマンとして世界のトップに立つ2人のプロにしても正解にいたらず。ただ、ジェイミーの産地を煮詰めるロジカルなアプローチは勉強になった。私のリオハは大きく外し、大越さんのサンジョヴェーゼはかなりいい線。答えはルチェンテ1997だった。
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