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いたるところに偽造や不正、自己防衛しかない…偽造ワイン蔓延(5)

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 偽造ワインはブルゴーニュが目立つが、量から言えばボルドーの方が圧倒的に多い。歴史が長く、量が多い。最も有名なのは、「V」マークで有名なシャトー・ムートン・トーロシルト1945だろう。挙げるとキリがないが、モーリン・ダウニーが紹介する最も偽造されているワインをまとめる。

ラフィット・ロートシルト
ムートン・ロートシルト
ラトゥール
マルゴー
ラ・ミッション・オー・ブリオン
オー・ブリオン
ピション・ラランド
レオヴィル・ラス・カーズ
パルメ
ペトリュス
ラフルール
ラトゥール・ア・ポムロール
ヴュー・シャトー・セルタン
トロタノワ
レヴァンジル
ル・パン
ディケム
シュヴァル・ブラン
オーゾンヌ

 最も偽造されているヴィンテージは、1929、1945、1950、1953、1961、1982、1990、2000、2005となる。要はパーカーポイントの高い生産者である。
 鑑定の大原則を挙げよう。ワインの目減りが始まるのは15年前後から。オリの構造もボルドーとブルゴーニュでは異なる。ボルドーの方が、1個ずつのオリのサイズが大きい。新しいラベルは疑わしいが、茶を染みこませたり、サンドペーパーをかけたりして、古い感じを出しているものもある。
 偽造には(1)オリジナルボトルに異なるヴィンテージを詰める(2)オリジナルボトルに安いワインを詰める(3)偽造ボトルだがラベルは本物(4)ラベル、コルク、中身すべてが偽物ーの4パターンがある。(4)を見抜くのは簡単。(3)は偽のコルク、カプセルやボトルが手掛かり。高値で売買される本物の空き瓶を使う(2)は難しく、コルクやカプセルの知識が必要。コルクやラベルを外れ年から当たり年に書き換える細工をする(1)は最も手ごわく高価だ。
 ボルドーの場合、ブルゴーニュより絵柄が凝っているので、様々な手掛かりがある。ラフィットの場合、シャトーの窓や女性の顔の精細度が重要となる。偽物は明瞭さに欠ける。ルーペで子細に点検しないとわからない。香港で開かれた偽造ワイン鑑定セミナーには、台湾や香港の有名レストランやショップの幹部が、高額な受講費を払って出席していたが、各人が持ってきた鑑定研修用ワインはラフィットが多かった。それだけ偽造品ではないかという不安を抱いているのだ。モーリン・ダウニーは「中国のラフィットの70%は偽物」という。
 人気シャトーのラベルには、だまし絵的な要素を含んでいるものも多い。シュヴァル・ブランの1998には「CHOPIN」の文字が潜んでいる。ムートン・ロートシルト1945は羊の中に「MOUTON ROTHSCHILD」という文字が隠れている。ルーペや顕微鏡で見ないとわからないが、鑑定の決め手となる。ペトリュスは1995年から紫外線で浮かび上がる特殊インクを使用。1986年からはボトル底部に「PETRUS」と彫ってある。ラ・ミッション・オー・ブリオンやサッシカイアはラベルにホログラムを導入している。ル・パンの場合、2003は生産されていない。
 近年のヴィンテージはプルーフタグやRFIDを装着しているが、古いワインは様々な要素で見分けるしかない。ダウニーは、ラベルの紙質、コルク、カプセル、糊、印刷方法、インク、瓶のガラス、オリなど16の見極めるべきポイントを挙げている。
 「高級ワインは世界のワイン産業の5%に当たる150憶ドルの規模だが、うち20%に当たる30億ドルは偽造ワイン。偽造ワインはワイン商よりオークションで売られることが多い。2015年のオークション市場の3億4600万ドルのうち、6900万ドルの偽造ワインが落札された」
 偽造が広がっているのは高級ワインばかりではない。中国ではガロのカルロ・ロッシの偽物も登場している。スーパータスカンのティネャネッロのような、流通量が多めのワインにも偽造は存在する。2012の画像を見ると明白だが、偽造ワインは線やフォントの精細度が低い。ルーペで見るとよくわかる。一般の愛好家は気付かずに信じてしまうだろう。ティニャネロの価格は1万1000円。超高級ワインではない。あらゆるボトルに偽造犯の魔の手が忍び寄っているのだ。
 ワインをめぐる不正は偽造だけではない。広範囲に広がっている。盗難ボトルが二次市場に流通している。2014年末にカリフォルニア・ナパヴァレーの「フレンチ・ランドリー」から盗まれたDRCやスクリーミング・イーグルは、1か月後にノース・カロライナ州で見つかった。カリフォルニアのワイン保管倉庫で、火事の被害にあったワイナリーのライブラリーワインを、保険会社が市場に流出させていた例もある。
 ネットはもちろん、ワイン雑誌やソムリエ協会の会報にも、ワインの買取店や疑わしいワインを販売するショップの広告が掲載されていたことがある。インターネットと同じく、あらゆるところに落とし穴が潜んでいる。そういう意識を持つことが求められている。鑑定家不在でも商売できる日本のワイン界はセキュリティソフトのないパソコンのようなものだ。自己防衛するしかない。

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紫外線で浮かび上がる特殊なインクを採用したペトリュス
シュヴァル・ブラン1998には「CHOPIN」の文字が潜んでいる
ムートン・ロートシルト1945の羊には「MOUTON ROTHSCHILD」という文字が隠れている
偽物の右は文字や線の精細度が低い
右が偽物
すべて偽物

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