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歴史的シャトーと日本人マダム、サントネのフルーロ・ラローズ

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 コート・ドールの南端に近いサントネ村。カジノで知られ、運河が美しいこの村まで足を延ばす人は少ないだろうが、機会があれば、シャトー・ド・パスタンを訪ねてほしい。ブルゴーニュの歴史を肌で感じられる。運が良ければ、当主ニコラ・フルーロに嫁いだ久美子夫人が、案内してくれるかもしれない。
 ロマネ・コンティは一時期、このシャトーで造られていた。その時のオーナーはジャック・マリー・デュヴォー。DRC唯一のプルミエクリュ「ヴォーヌ・ロマネ・プルミエクリュ キュヴェ・デュボー・ブロシェ」に名をとどめている。ワイン商だったデュボー・ブロシェ家は19世紀、サントネに本拠を置き、後年にプルミエクリュ、グランクリュに格付けされた畑を計137haも買い集めた。1869年にロマネ・コンティを購入。翌年から40年間にわたり、ブドウをサントネまで馬車で運び、自宅シャトーでロマネ・コンティを瓶詰め・保管していた。
 ロマネ・コンティがヴォーヌ・ロマネのドメーヌで醸造され、初めて瓶詰めされたのは1929年。卓越したヴィンテージだったため、デュヴォー・ブロシェの流れをくむジャック・シャンボンとエドモン・ド・ヴィレーヌが一部を元詰めした。これがブルゴーニュの初めての自家元詰めとされている。もっとも当初は、メゾン・ジョゼフ・ドルーアンに多くが売られていた。エドモンからアンリ、現在のオベールへとド・ヴィレーヌ家の系譜は引き継がれている。現在の共同経営者オベール・ド・ヴィレーヌは、シャトーを望める近所に住んでいる。
 シャトーは地上が3階で地下が2階。最深部は地下10メートル。カーヴには巨大な空間が広がっている。ワインを上階に引き上げるためにくり抜いた穴や瓶を持ち上げるカゴのリフト、かびに包まれたボトルから、長い時の流れが感じられ、身震いしてしまう。久美子さんはアルザスでニコラと知り合い、2003年に結婚した。ブルゴーニュのドメーヌに嫁いだ日本人女性としては、ビーズ千砂さんの次の世代に当たる。
 このシャトー・ド・パスタンの現在のオーナーは創業1872年創業のドメーヌ・フルーロ・ラローズ。当主ニコラは少しシャイできまじめ。久美子夫人との間に2人の息子がいる。モンラッシェも所有する。1919年、ニコラの祖父オーギュストがモンラッシェを購入したが、オーギュストには4人の子供がいたため分割された。ルフレーヴに売却したりして、末っ子のニコラの父からニコラが引き継いだのは0.04ha。サントネ、シャサーニュ・モンラッシェ、バタール・モンラッシェ、クレマン・ド・ブルゴーニュなども手掛けている。
 モンラッシェは2016年は雹害で単独では仕込めず、DRC、ルフレーヴ、コント・ラフォンなど6ドメーヌ共同で仕込んだ。2017年は質量ともに充実している。12月では評価するに早すぎるが、樽で熟成中のモンラッシェは白桃、マーマレード、ハーブ、酸は高めで、濃密、スケールが大きい。粒の細かいミネラル感があり、余韻は長い。1樽のみのバタール・モンラッシェはおおらか、凝縮度は高く、ナッティでリッチな味わい。
 代表的な銘柄をボトルから試飲した。「ドメーヌ・フルーロ・ラローズ サントネ・プルミエクリュ クロ・デュ・パスタン ブラン 2015」(Domaine Fleurot-Larose Santenay 1er Cru Clos du Passe Temps Blanc 2015)は白い花、白桃、洋ナシ、酸はしっかりとあり、ストーニーなミネラル感、柔らかい果実味があり、丸くてフレッシュなフィニッシュ。88点。
 「ドメーヌ・フルーロ・ラローズ シャサーニュ・モンラッシェ・プルミエクリュ クロ・ド・ラ・ロックモール 2015」(Domaine Fleurot-Larose Chassagne-Montrachet 1er Cru Clos de La Rocquemaure 2015)はモルジョ内にあるリューディでモノポール。果実が豊かで、ミネラル感に富み、高めの酸、凝縮度はあり、黄色系果実、ハチミツ、ほろ苦みが絡み、フィニッシュは塩気がある。ふくよかでおおらか。89点。
 熟成のポテンシャルを感じたのが「ドメーヌ・フルーロ・ラローズ シャサーニュ・モンラッシェ・プルミエクリュ アベイ・ド・モルジョ 1993」(Domaine Fleurot-Larose Chassagne-Montrachet 1er Cru Abbaye de Morgeot 1993)。豊満で、しっかりした酸に支えられ、ハチミツ、焼き栗、ヨード香、トロリとした口当たりで、アカシアのハチミツ、ブラウンバターのアロマと塩気を帯びたフィニッシュ。90点。
 アベイ・ド・モルジョは赤向きの土壌で、全体の40%から赤を生産する。「ドメーヌ・フルーロ・ラローズ シャサーニュ・モンラッシェ・プルミエクリュ アベイ・ド・モルジョ ルージュ 2016」(Domaine Fleurot-Larose Chassagne-Montrachet 1er Cru Abbaye de Morgeot Rouge 2016)はジューシーで、軽やか、レッドチェリー、ハーブ、しっかりしたストラクチャーがあり、ふくらみがある。アーシーなフィニッシュ。89点。
 「ドメーヌ・フルーロ・ラローズ サントネ・プルミエクリュ クロ・デュ・パスタン 2014」(Domaine Fleurot-Larose Santenay 1er Cru Clos du Passe Temps 2014)は砕いたストロベリー、レッドベリー、細身で、やや重めのタンニン、スパイシーで、がっしりした構造、やや武骨だが、サントネらしい肉付きのよさと深みがある。90点。
 シャトーと同じく、ワインは構造のしっかりした古典的なスタイルだった。

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