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爛熟のコント・ド・シャンパーニュ1990

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 テタンジェのシャンパーニュを見直している。

 きっかけは昨年秋に搭乗したエアフランスの深夜便。運よくアップグレードされた。口開けに頼んだのはシャンパーニュ。これが良かった。バランスが良くて、アペリティフにぴったり。男性の客室乗務員に銘柄を聞いたら、見せてくれたボトルがテタンジェだった。

 エアフラはボトルからサービスしてくれる。そこがいい。小さなピッコロ・ボトルは味気ない。おいしくない。昔はどこもボトルだったが、効率優先に変わった。飛行機ではほぼシャンパーニュしか飲まない。最もコスト・パフォーマンスが高いから。赤や白ワインはいいものに当たらない。予算の制約があるからだろう。

 最近では、アカデミー・デュ・ヴァンの授業で、テタンジェの2005と、ドメーヌ・カーネロスのル・レーヴェ2006を比較試飲した。ル・レーヴェはカリフォルニアのジョイント・ヴェンチャーのドメーヌで造るブラン・ド・ブラン。いずれも良かった。バランスの良さと柔らかさがあり、万人受けするスタイルだ。

 というわけで、年の瀬はコント・ド・シャンパーニュ1990を開けた。シャルドネ・ハウスとしての名声を築いたプレスティージュ・キュヴェだ。1952年ヴィンテージが最初の作品。少量生産のサロンを例外とすると、クロード・テタンジェが考案したこのキュヴェがブラン・ド・ブランを世に広めた。

 ただ、優れたブラン・ド・ブランほど飲みごろに時間がかかる。酸がきついから。ブルーノ・パイヤールやピエール・ペテルスが、二次発酵用のリキュール・ド・ティラージュ添加量を減らしたキュヴェを生産するのも、酸を柔らかく、飲みやすくするためだ。
 アヴィーズ、メニル、オジェを主体に、シュイィとクラマンもブレンドしたコント・ド・シャンパーニュも、若いうちに飲むと近寄りがたい。しかし、90年は違った。太陽の年だ。ほぼ四半世紀の熟成。シャブリの・レ・クロのようなミネラル感があり、リンゴのコンポートやトースト、モカの香り。リッチで、ゴージャス。89年から少量使うようになった樽の微妙な影響もある。

 今でも、鼻腔の奥に品格と爛熟の同居する香りがよみがえる。優れたシャンパーニュの余韻は1か月以上も続く。本当だ。

(2013年12月 ワイン会で)
テタンジェ コント・ド・シャンパーニュ 1990
購入:米西海岸のショップ 280ドル
死ぬまでにもう一度は飲みたい度:96点

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