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ロダのトップレンジ、欠点の見つからない「シルシオン」(リオハ2018年6月)

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 アロの駅周辺に古くからの生産者が集まるバリオ・デ・ラ・エスタシオン地区。建物の構えを見ただけで伝統や歴史が伝わってくるボデガスの中で、ロダは異質だ。ゲートはかっちり閉ざされていて、自由には入れない。建物にはナパヴァレーのワイナリーのようにシャープなデザインのロゴが刻まれている。どう見てもモダンだ。
 日本ではオリーブオイルの方が有名かもしれないが、このボデガスはただ現代的なだけではない。ワイン造りはテロワールの異なる産地のブドウをブレンドするというリオハの伝統にのっとっている。距離の長い地下セラーはエブロ川の冷気を取り入れる構造になっている。一方で、日照を取り込み、窓の開閉によって温度を保つセラーも備えている。ワインはブラインド・テイスティングによって、3つのキュヴェに選別される。このあたりはサードワインまで造るボルドーのトップシャトーと同じ。そのうえ、どのワインも品質が高い。ワイン造りにプラスになるものは何でも取り入れるのだ。

 「ボデガス・ロダ ロダ レセルバ 2014」(Bodegas Roda Roda Reserva 2014)は3階層の中で最もベーシックなキュヴェだが、エントリーレベルの品質ではない。テンプラニーリョにわずかなグラシアーノがブレンドされている。酸の強いグラシアーノは、温暖化の進む中で有用性が高い。チョーキーな酸がフレッシュ感をもたらし、大西洋気候の影響が強い。フリンティで、レッドチェリー、レッドプラム、ジューシーで、緊張感があり、うまみの乗ったパレット、濃厚すぎることがなく、アプローチャブル。コアはしっかり熟していて、しっかりした背骨を備える。90点。

 「ボデガス・ロダ ロダⅠ レセルバ 2011」(Bodegas Roda RodaⅠ Reserva 2011)もまた、大西洋気候の影響を受けた伝統的なリオハスタイル。発展していて、ブラックプラム、シガーボックス、なめし革、アーシーで、深みがある。酸と果実とタンニンがせめぎあい、バランスに優れている。ブルゴーニュ的な冷涼感をベースにしたハーモニーがある。樹齢50年以上の古木から。92点。

 トップレンジ「ボデガス・ロダ シルシオン 2015」(Bodegas Roda Cirsion 2015)はテンプラニーリョ86%、グラシアーノ14%。2013、2014年は生産されなかった。2012のグラシアーノ比率は10%で、よりタイトでエレガントなスタイル。よく熟していて、グリップのあるタンニン、ブラックベリー、プルーン、杉、丸いパレット、凝縮しているが、カウンターとなる酸が生き生きしていて、テンプラニーリョのジューシーな果実味を際立たせている。十分に長いフィニッシュ。欠点が見つからない。5078本の生産。95点。
アグスティン・サントラヤ社長

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