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品格ならリースリング、ローゼン博士のエロイカ

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 白ワイン選びは、その人の嗜好を物語る。

 シャルドネを選ぶ人は保守的な面がある。ソーヴィニヨン・ブランを選ぶ人は変わり者だ。シュナン・ブランを探す人はマニア。リースリングを選ぶ人はお友達になりたい。上品で、食事の友にふさわしく、主張もある。

 問題は、その気品のあり方だ。残糖の多いものは食事向きではない。とはいえ、ボーン・ドライも色気がない。きれいな酸があり、アルコール度は低く、熟した果実とのバランスがとれているものが望ましい。モーゼルはその典型。つつましいたたずまいは、スモール・イズ・ビューティフルと言いたくなる。

 モーゼルの旗手の一人ドクター・ローゼンは、リースリングを世界に広める意気込みに燃えている。米ワシントン州のシャトー・サン・ミッシェルと提携して、新旧世界の良さを取り入れたエロイカを造っている。

 タンジェリン、ユズの香り。引き締まったミネラル感があり、目が詰まっている。アルコール度は11%。つましいところでバランスがとれているのはまさにモーゼルと同じ。素直においしいと思える。ただ、ドイツよりは果実が熟していて、後半から持ち上がる。そのまましっかりした余韻が長く続く。エキゾチックだ。

 モーゼルのワインに、オレンジの感触はないし、エキゾチックと感じるところも少ない。これはやはり、砂漠的な気候に由来する風味なのだろう。モーゼルはワインとして完成されていて、そのまま飲んでおいしいが、エロイカは食べ物を呼ぶ。エスニックな料理やちょっと脂っこい皿を持ってきたい。少なくとも、寿司や刺身ではない。

 ラベルはスタイリッシュ。アメリカ人受けしそうだ。エロイカを飲んで、食事している人を見かけたら、この人はワイン通なんだなと思う。

(2013年12月 自宅で)
サン・ミシェル・ワイン・エステート エロイカ
輸入元:ファインズ
参考上代:3580円
月に一度飲みたい度:89点

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