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政治記者からヴィニュロンへ、白ワインに強いドメーヌ・デュブレール

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 ブルゴーニュにアウトサイダーの造り手が少しずつ増えている。多くはミクロ・ネゴシアンだが、ドメーヌ・デュブレールのブレア・ペテルは、政治記者からヴィニュロンに転向した変わり種。栽培から醸造まで一貫して行っている、ほぼ唯一の米国人でもある。

 米国のニュース配信企業で働いていたが、1987年にロンドンに赴任。ヨーロッパの文化の一つであるワインを学ぼうと、BB&Rの元バイヤー、ジャスパー・モリスの主催するパトリス・リオンの試飲会に出席。一発でブルゴーニュワインのフィネスとエレガンスに魅了された。ブルゴーニュに通うようになり、94年に米国に帰国してからも、レオンの収穫を手伝いに行くほど、ワインの世界にどっぷりと浸かった。

 「ワインを造りたいのなら、ブルゴーニュに移住してもいいのよ」

 寛大な妻に言われて、2003年に2人の子供を連れて、ボーヌに移り住んだ。42歳だった。ボーヌの学校で、農業栽培責任者資格「BPREA」を取得。リオンやシャサーニュ・モンラッシェのジャン・マルク・ピヨで収穫を経験し、リオンのセラーを間借りしてワイン造りを始めた。リオンのコネで、04年にコルトン・シャルルマーニュを購入し、05年にはピヨのコネでシャサーニュ・モンラッシェの畑を購入した。地価が高騰する前だから可能だった。

 コート・ドール・グループというネゴシアンを設立して、ブドウを購入する形で運営している。節税、相続対策で多くのドメーヌがとる手法だ。法的にはネゴシアンだが、3分の1は自社畑、3分の1はフェルマージュ(賃借)、3分の1はブドウを購入し、醸造はすべて自ら行っている。コート・ド・ボーヌを中心に、シャブリも含む白10種、赤7種を造っている。新樽は利用せず、亜硫酸も最小限に抑えている。赤白各3種を、来日したブレアと共に試飲した。

 「ドメーヌ・デュブレール ブルゴーニュ ルージュ レ・グランド・テッレ 2015」(Domaine Dublere Bourgogne Rouge Les Grandes Terres 2015)はヴォルネイの斜面下部のD973の向こう側から。ボイセンベリー、ブラッドオレンジ、ドライハーブ、2015らしい熟度の高さとふくらみがあり、凝縮度は中程度。生き生きした酸があり、力強いフィニッシュ。4500円。87点。

 「ドメーヌ・デュブレール ボーヌ・プルミエクリュ レ・ブランシュ・フルール 2015」(Domaine Dublere Beaune 1er Cru les Blanches Fleurs 2015)はクロ・デュ・ロワ下部にあるヴィラージュとプルミエクリュの両方を出す区画。昔は小川が流れていて、赤い粘土の上に砂地の多い沖積土壌が広がる。紫の色調が強く、スミレ、レッドカラント、砕いた岩、チョーキーなテクスチャーで、タンニンは軽やか、ミネラル感に富む。セイバリーなフィニッシュ。恵まれていないテロワールから、ボーヌのエレガントな面を引き出している。8000円。90点。

 「ドメーヌ・デュブレール ヴォルネイ・プルミエクリュ レ・ピチュール 2015」(Domaine Dublere Volnay 1er Cru Les Pitures 2015)は林に近い標高の高いクリマ。フラワリーで、ラズベリー、ブラックプラム、タイトなテクスチャー、チョーキーな酸、香り高く、しっかりした背骨がある。十分な長さがあり、リニアなフィニッシュ。やや熱さが残る。白ブドウ向きの白い土壌だという。1万1000円。91点。

 「ドメーヌ・デュブレール サヴィニ・レ・ボーヌ・プルミエクリュ レ・ヴェルジュレス 2015」(Domaine Dublere Savigny les Beaune 1er Cru les Vergelesses 2015)は、生産量の90%が赤のサヴィニ・レ・ボーヌで珍しい白。標高の高いチョーキーな土壌から。白桃、パイナップル、残存二酸化炭素が多く、フレッシュ。酸がややもたつくが、調和がとれていいる。エキゾチックで、スモーキー、潮のしぶき、後半に果実がふくらむ。ミネラリーなフィニッシュ。赤ワインの村から生まれるお買い得白。7400円。90点。

 「ドメーヌ・デュブレール シャサーニュ・モンラッシェ・プルミエクリュ レ・ショーム 2015」(Domaine Dublere Chassagne Montrachet 1er Cru les Chaumees 2015)はサン・トーバンに近い斜面上部から。グレープフルーツ、白桃、オレンジ、まろやかで、生き生きしている。小石をなめるようなミネラル感があり、緊張感に貫かれている。ナッティで、にがり塩、正確なフィニッシュ。1万3000円。91点。

 「ドメーヌ・デュブレール コルトン・シャルルマーニュ 2015」(Domaine Dublere Corton Charlemagne 2015)は、西向きのアン・シャルルマーニュと南西向きのル・シャルルマーニュの計0.48haから。白い花、レモンの皮、パイナップル、硬質なテクスチャー、果実はよく熟していて、蠱惑的。2015らしい豊満なスタイルで、塩気を帯びたフィニッシュはややおおらか。9月2日に収穫した。2万3000円。93点。

 白ワインに強く、好きな造り手はラモネ。地球温暖化を受けて早めの収穫で酸を残すように留意している。

 「記録の残る18世紀以来、8月に収穫が始まったヴィンテージは16回あって、そのうち6回は2000年代。2003、07、09、15、17、18となる」

 米国人のワインメーカーは、ブルゴーニュの歴史でも珍しく、NYタイムズやブルームバーグでも紹介されて、米国での人気が高い。

 輸入元はジェロボーム。

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