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活力あふれる香りの万華鏡、セロスのシュブスタンス

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 セロスのことを口に出すのがちょっと恥ずかしい。

 猫も杓子も…という感じで過熱している。セロスばかり飲んでいるわけにはいかない。世界が広がらない。リューディはいくらなんでも高価すぎる。とはいえ、大切な食事会には重宝する。

 そこそこストックがある。ソレラシステムのように、毎年、買っていたからだ。新しいシヤンパーニュは、確認の意味ですぐに開けるが、セロスは急ぐ必要もない。というか、3年はおかないともったいない。先日、コート・ファロンでも確認したばかりだ。

 久しぶりにシュブスタンスを開けた。

 昨年秋に、定温倉庫から出したケースに入っていた。リューディやミレジムがもてはやされるが、セロスのフラッグシップはこのキュヴェだ。完成度が高い。ミレジムを消した後に、アヴィーズのテロワールが表れるというアンセルムの哲学を最もよく表現している。生産量は3000本。

 デゴルジュマンは2009年の10月。4年ほどたっている。ちょうどいいところだ。1986年から2002年までのワインを使っているはず。シードルのように濃厚に輝く黄金色。多層的な香りの万華鏡。シェリーっぽい香りもある。酸化しているが、莫大なエネルギーを秘めている。セロスの常として、最初はボワゼに満たされるが、複雑な香りと味わいにからめとられて、気にならなくなる。タンクから飲んだリザーヴワインが同じ味わいだったことを思い出した。

 粘着感が強いわけではないが、一気に飲み干せない。それくらい、生き生きした活気と密度がある。ヴォリューム感がふくらみ、優雅な余韻に向けてピントが合っていくドラマが、いつも素晴らしい。シュブスタンスを飲んで失望させられたことはない。これ以外にも、卓越したブラン・ド・ブランはあるが、アヴィーズのテロワールを表現する独自性で、これをしのぐシャンパーニュはない。

 これだけの強さがあると、魚料理でなくても、フォアグラやチキンは軽くカバーする。2時間ほどたって、締めに飲んだら、さらに小宇宙が拡大していた。

(2014年1月 東京・代官山の「メゾン・ド・スリジェ」で)
ジャック・セロス シュブスタンス
購入:パリのショップ 130ユーロ
死ぬまでにもう一度は飲みたい度:96点

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