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ブルゴーニュは輪廻転生、トゥール・ダルジャンで思う

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 ブルゴーニュは輪廻転生の世界だ。新しい造り手が次々と出てくる。背後には先達の影が見える。

 ジャスパー・モリスMWの来日に伴って行われたベリー・ブラザーズ&ラッドのガラディナー。トゥール・ダルジャンで、ジャスパーのめがねにかなった造り手と古典的なフレンチのコースで。下手なフュージョンよりクラシックを愛する私は、ここの料理が大好き。フォアグラと合わせたシルヴァン・ロワシェのコルトン・シャルルマーニュは中1日おいての登板だったので省略。30歳の新たな才能だ。リッチな2009ではなく、酸のきれいな古典的2010も飲んでみたい。

 シルヴァンとの比較で心に残ったのが、コキヤージュと白トリュフソースに合わせたドメーヌ・ド・ラ・ヴジュレのクロ・ブラン・ドーヴージョ2009。レリティエ・ギィヨからボワセ傘下のヴジュレの持ち物になった。コート・ド・ニュイのシャルドネらしい、かたくなな酸と硬いミネラルの殻に包まれた1本。針の穴を通して熟した果実がのぞいたから、5年後は面白いかも。ただ、フレデリック・ミュニエで飲んだニュイ・サン・ジョルジュ・クロ・ド・ラ・マレシャルの白と同じ、どこかに垢抜けない重さは残る。

 新たな才能はオリヴィエ・バーンスタインのクロ・ド・ラ・ロッシュ 2008。オマール海老と黒トリュフに合わせた。2008にもかかわらず、濃密でありながら、クロ・ド・ラ・ロッシュらしいミネラル感に貫かれている。やや抽出が強いが、中間が充実していて、エネルギーにあふれている。世界が注目するわけがわかった。マイクロ・ネゴシアンのスターだ。

 定番の幼鴨のマルコポーロ風には、カミーユ・ジルーのニュイ・サン・ジョルジュ・レ・ヴォークランの2009と1976を。76は驚くほど若く、09との距離は遠くない。76が濃厚なのか、09が熟しているのか。おそらく両方だろう。

 同じネゴシアンで、醸造責任者が変わっても、ヴィンテージが似たような性格だと、同じワインに仕上がる。一方で、若い世代の造り手がゼロから参入して、グランクリュに挑んでいる。ブルゴーニュはダイナミックな勢いを失わない土地だ。

(2014年3月 ラ・トゥール・ダルジャンで)
シルヴァン・ロワシェ コルトン・シャルルマーニュ 2009
月に一度は飲みたい度:90点

ドメーヌ・ド・ラ・ヴジュレ クロ・ブラン・ドーヴージョ 2009
5年後に飲みたい度:90点

オリヴィエ・バーンスタイン クロ・ド・ラ・ロッシュ 2008
年に1度は飲みたい度:90点

カミーユ・ジルー ニュイ・サン・ジョルジュ・レ・ヴォークラン 2009 1976
もう一度飲みたい度:89点

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