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ヒロ・シェフのフュージョンで一息…TERRAにて

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 時差もようやく抜けてきた3日目。夕食はミステリー・ツアーだった。ワイン・インスティテュートが選んだナパヴァレーの生産者とそれ以外の産地の生産者と、ゲスト2人がレストランで食事をするというもの。デート番組のような趣向だ。

 私のお相手は、ハウエル・マウンテンのデリア・ヴィアデアと、クラインのワインメーカーのチャーリー・テゲレトス。よく知ってるワインで良かった。デリアは日本で何度も会っている。3人の息子と1人の娘がいて、娘ジャネットは前日の「新世代の造り手」で会ったばかり。お母さん譲りの美人だった。

 息子も仕事に加わっているデリアはアルゼンチン生まれ。2つのMBAとソルボンヌ大のPHDを持っている才媛。英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語を話せるのだが、優しくて、気遣いしてくれる女性だ。日本にもファンが多い。

 クラインは、ローヌ、イタリア品種を手掛ける。ここのピノ・グリは拙著「おうち飲みワイン100本勝負」で紹介したこともあり、親近感がある。そのピノ・グリでアペリティフ。市価18ドル。果実は詰まっているが、酸がありイタリアンやサラダにあう。ヴィオニエ、ムールヴェドル、カリニャン、シラー、ジンファンデルも試飲したが、バランスがいい。

 訪れたのはセント・ヘレナの「TERRA」。日本人シェフの曽根廣喜さんが経営する。前から行こうと思いつつ縁がなかった。デザートもチーズも、メインも前菜も含めた皿の中から自分でコースを組み立てる。4皿で75ドル、5皿で90ドル、6皿で102ドル。ひとつづつの量は日本と同じくらいなので、疲れた胃に優しい。肉続きで疲れていたので、体に楽そうな皿ばかり選ぶ。

 1皿目は米国産キャビアを乗せたカッペリーニ。涼しげでいい。ピノグリとあった。2皿目はブラッター・チーズとトマト。これもピノ・グリとよかったが、ムールヴェドルともよかった。日本のイタリアンにきたみたいで体が楽だ。でも、しっかりおいしい。

 3皿目はチャワンムシ。英語でChawanmushiとある。「これは何か」と聞かれたので説明。皆が頼んだ。私もいきがかり上、頼んだら、まったく日本と同じレシピ。マツタケがのって、ユズとエビ、豆がはいっている。上品なおだし。ヒロ・シェフは「マツタケはナパの山でとれたもの」と。今年初めての、マツタケの茶碗蒸しをナパで食べることになるとは。「テイスティ」とテーブルでも好評だった。

 4皿、5皿目はロブスターのアメリケーヌ・ソースと、アワビのリゾット添え。ロブスターはラビオリ仕立てと普通のポシェがありこれは予想通り。アワビは上に乗ったものは小さいが、リゾットには大きな切り身があり、和の感覚とイタリアンのフュージョン。

 最後の海ものには、ヴィァデアの98、99、07を。98はワインスペクテイターの年間トップで3位になったという。13・5%。寒くて雨がちで、評価が低いので「バーゲン」(デリア)。熟成が進んでいて、ロブスターとも相性がよい。自分はヨーロッパ的な舌だと改めて思った。

 アワビのリゾットは、パルミジャーノ・レッジャーノの塩味が強く99ともよかった。こちらは14%。07はモダンなスタイルで、私は昔の方が趣味にあう。デリアはルカ・ダットーマ、ガイヤ、アンティノリらとも親交が深く、毎年、トスカーナに行くとか。コルクは64ミリのポルトガル産。大富豪の御嬢さんなのだろうが、上品で、いつも話がはずむ。

 ヒロさんともあいさつ。SFのセント・レジスホテル内にも出店していて、成功した日本人シェフといえる。「今年で25年。アメリカの生活の方が長くなった」と。「日本人の方が食べると、ホッとするというんです。日本人の持って生まれたものが消えないんでしょうね」と話していた。フレンチ、イタリアン、和食の融合だが、私もそう思った。店は大賑わいだった。

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