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ファイラとスクリブ…カリフォルニアのピノで衝撃の発見

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 これまでの3日間で最も興味深かったのが、2日に開かれたカリフォルニアのピノ・ノワールを北から南に概観するブラインド試飲だった。ジャンシス・ロビンソンと一緒に働くジュリア・ハーディングMWも「興味深いもののひとつ」と話していた。

 アンダーソン・ヴァレーからサンタ・バーバラ郡まで760キロ。太平洋の寒流の影響を受けたピノ・産地が南北に伸びている。その多様性を解説したのは「ワイン・バイブル」の著者カレン・マックニール。

 17AVAから選んだ126本を5人で試飲し、18本に絞り込んだ。アンダーソン・ヴァレー、ソノマ・コーストやロシアン・リヴァー・ヴァレーなど北部、モントレーなど中央部、サンタ・マリア・ヴァレーなど南部の6本づつを3フライトできいた。

 冷涼で、抑制のきいた北部、冷涼だが果実味豊かでアルコール度が高くなる中央部、造りが様々な南部と、傾向の違いがまずは面白い。だが、カリフォルニアのピノが目指す緊張感あるスタイルが全体に浸透していることがうかがえた。

 衝撃を受けたのは、ファイラのオキシデンタル・リッジ2011。リトライに間違いないと思ったが、リトライはその前の2番だった。ヘレン・ターリーの助手を務めたアレン・ジョーダンが手掛けるソノマ・コーストのワイン。女帝とは違って、アルコール度が13・5%と低いが濃密なエキスがあり、全房発酵のニュアンスがある。優雅というほかない。小売り63ドルだとか。リトライをしのいだかもしれない。

 もう一つは、マクニールも「ノックアウトされた」と興奮したというスクリブ。カーネロスのローム土壌から造られる。13・1%。自然酵母で発酵されたこれは、ビオディナミのワインを思わせる自然な味わい。色は淡く、長めのコールド・ソークと全房発酵のニュアンスを感じさせる。40ドル。美しさとデリカシーがある。この二つは色合いもきわめて淡い。色素が少ない。

 また、歴史を誇るジョセフ・スワンのロシアン・リヴァーヴァレーも改めてよかった。

 南部は全体にアルコール度が高く、私の心の琴線に触れるものは今一つなく、最後のラティシア・ホールクラスターくらいだった。

 ジュリアもファリアはお気に入り。「どのようなアングルでまとめるか考える」と夜中の11時になっても真剣。本当にまじめだ。ジェラール・バッセMWは、リトライ、ペーイ、ピゾーニ、ブリュワー・クリフトン、ラティシアを挙げた。

 「ピゾーニが濃いと?そうだけど好きだ」と。

 カリフォルニアらしい選び方だ。ヨーロッパのパレットではなく、グローバル・パレットだから、カリフォルニアのピノはカリフォルニアらしいものがいいのかもしれない。ともあれ、貴重な機会だった。やろうと思っても個人ではできない。

リストは以下に

California Pinot Noir from North to South - Rudd Center - Seated tasting
2010 Foursight "Zero New Oak" Charles Vineyard
2011 Littorai Savoy Vineyard
2011 Failla Occidental Ridge Vineyard
2010 Kosta Browne Kanzler Vineyard
2011 Peay Sonoma Coast Pinot Noir
2011 Joseph Swan Trenton Estate Vineyard
2011 Williams Selyem Russian River Pinot Noir
2010 Martinelli Zio Tony Ranch "Grace Nicole"
2011 Scribe Pinot Noir
2011 ROAR Sierra Mar Vineyard
2010 Pisoni Estate
2011 Siduri Rosella's Vineyard
2011 Brewer - Clifton "Melville"
2010 Samsara Kessler-Haak Vineyard
2010 Sanford Sanford & Benedict Vineyard
2011 Paul Lato "Seabiscuit" Zotovich Vineyard
2010 Au Bon Climat Talley Vineyard
2011 Laetitia Whole Cluster

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