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熟成してもフレッシュ、ルーウィンのアートシリーズ・シャルドネ

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 ルーウィン・エステートがオーストラリア南西端にあるマーガレット・リヴァーを有名にした。アーティストラベル、ワイナリーで開くコンサートなどトータルで、ワイナリーと産地のイメージを高めた。創設者のデニス・ホーガンが、ロバート・モンダヴィから助言を受けたマーケティングも取り入れ発展してきた。
 デニスと長女シモーヌが来日し、フラッグシップのアート・シリーズの古いヴィンテージを試飲した。10年以上寝かせたオーストラリアはなかなか口にできない。予想と違って、シャルドネの息の長さが印象的だった。
 ルーウィンのワインが世に出たのは1979年ヴィンテージ。アート・シリーズ・シャルドネは翌80年にデビューした。30区画に分かれていて、バレルセレクトする。
 「ルーウィン アートシリーズ・シャルドネ マーガレット・リヴァー 2012」は柑橘、レモンオイル、ピスタチオ、ややトースティだが、オークはよく統合されていて、テクスチャーはなめらか。フルーティサイドに寄りすぎず、ノンマロでフレッシュな酸を保持している。
 「ルーウィン アートシリーズ・シャルドネ マーガレット・リヴァー 2002」は濃厚な黄金色、蜜入りゴールデンデリシャス、ヘーゼルナッツ、ブラウンバター、酸は穏やかで柔らかい。ピークに達しているが、酸は保たれ、熟成したムルソーを連想させる。地中海性気候のマーガレット・リヴァーは赤ワイン向き産地だが、インド洋と南氷洋の影響を受けて、フレッシュ感を保てる。決実不良の多いメンドーサ・クローンは酸を保ち、生育期間が長いという。
 マーガレット・リヴァーの気候はボルドーと似ているが、収穫期の降雨量が少ないのが強み。カベルネ・ソーヴィニヨンは西と北西向きの向きの畑に植えられ、最良の区画は砂利が多く、水はけがいい。
 「ルーウィン アートシリーズ・カベルネ・ソーヴィニヨン マーガレット・リヴァー 2012」は紫を帯びたガーネット、ブラックベリー、炭、黒系キノコ、果実の凝縮度があり、しっかりした骨組み。継ぎ目のない長い余韻にミンティなヒント。カベルネ・ソーヴィニヨン100%。2005年からすべてスクリューキャップに変え、フレッシュ感が保たれているという。
  「ルーウィン アートシリーズ・カベルネ・ソーヴィニヨン マーガレット・リヴァー 2001」は、黒みを残したガーネット、黒スグリ、焦げた肉、シナモン、丸くなったタンニンとリッチな果実があるが、上品な酸があり、抑制されたスタイル。カベルネ・ソーヴィニヨン86.4%、マルベック9%、プティ・ヴェルド4.6%。
 「ルーウィン アートシリーズ・カベルネ・ソーヴィニヨン マーガレット・リヴァー 1993」はレンガ色を帯びて、腐葉土、黒トリュフ、カルダモンの深い香りがあるが、骨組みはゆるい。しっかりした果実と酸を支えるタンニンが、洗練度に欠ける。20年以上前の栽培技術やタンニン処理を考えれば仕方ないが、熟成感は楽しめる。カベルネ・ソーヴィニヨンのほかに、メルロ2.3%、マルベック7%、プティ・ヴェルド3%。
 チーフワインメーカーのポール・アトウッドは1997年に参画し、カベルネ・ソーヴィニヨンのカノピー・マネージメントや発酵槽、熟成樽などの細部を改良してきた。その成果が最近のヴィンテージからうかがえる。カリフォルニアとボルドーの中間を行くスタイルで、値段はそれらに比べればお買い得。

2016年9月7日 東京・丸の内で

ルーウィン アートシリーズ・シャルドネ マーガレット・リヴァー 2012
92点
希望小売価格:9800円
ルーウィン アートシリーズ・シャルドネ マーガレット・リヴァー 2002
90点
ルーウィン アートシリーズ・カベルネ・ソーヴィニヨン マーガレット・リヴァー 2012
92点
希望小売価格:6500円
ルーウィン アートシリーズ・カベルネ・ソーヴィニヨン マーガレット・リヴァー 2001
91点
ルーウィン アートシリーズ・カベルネ・ソーヴィニヨン マーガレット・リヴァー 1993
88点
輸入元:ヴィレッジセラーズ

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