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冷涼気候のタスマニア、シャブリ連想させるダルリンプルのシャルドネ

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 冷涼な産地を探す動きの盛んなオーストラリアで、注目の産地がタスマニア島だ。ハウス・オブ・アラス、クローバー・ヒル、ジャンツなど優れたスパークリングワインを産する。ペンフォールドのヤッターナ・シャルドネはタスマニアのブドウを増やし、アデレード・ヒルズに拠点を置くショウ&スミスもトルパドル・ヴィンヤードを取得した。

 生育期の平均気温14.4度はシャンパーニュとほぼ同じ。南緯41.5度はニュージーランドのマールボロとほぼ同じ。島北東部のパイパーズ・リヴァーは、バス海峡からの冷涼な風を受けて、収量が低く、ハンギングタイムが長い。ブルゴーニュ品種には好条件がそろっている。英国で手に入るオーストラリアワインを評価するコンペティション「マンバ・アワーズ」のピノ・ノワールでトップにたった「ダルリンプル」の白と赤を試飲した。

 1987年に創設され、ブルゴーニュやカリフォルニアで修業したピーター・コールドウェルがワインメーカーを務める。ヤルンバのヒル・スミス家が2007年に買収した。「ダルリンプル ケーヴ・ブロック シャルドネ 2013」はレモンオイル、白桃、グレープフルーツの皮、温度が上がるとハチミツ、トーストの香り。ボディは軽く、硬質なミネラル感。強い酸を残し、ヨード香がまとわりつくフィニッシュが、冷涼な気候を表現している。

 「ダルリンプル ピノ・ノワール 2013」は、コンペティションで優勝した「コテージ・ブロック ピノ・ノワール」とは違うが、プラム、ブラックベリー、シナモン、シャルドネに比べると熟度は高く、骨組みはしっかりしている。うまみがある。なめらかなテクスチャーで、余韻は長め。部分的に全房発酵を導入しており、スパイシーでややほろ苦い。アルコール度は13.5%。
 いずれも産地の風土を明快に反映しているが、自社畑の2区画から造られたシャルドネの方が焦点があっている。抑制のきいたスタイルは、オーストラリアの冷涼気候産地のお手本となる仕上がり。アルコール度は12.5%と低く、シャブリを連想させる。
 いずれも樹齢が低いため、今はやや複雑さに欠けるが、産地としてのポテンシャルを感じる。年とともに向上する可能性を秘めている。

2016年7月23日 自宅で

ダルリンプル ケーヴ・ブロック タスマニア シャルドネ 2013
90点
参考価格:5900円
ダルリンプル ピノ・ノワール タスマニア 2013
88点
参考価格:5900円
輸入元:ファインズ

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