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プロヴァンス・ロゼの老舗、ドメーヌ・オット

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 フランス・プロヴァンスの老舗ロゼ生産者ドメーヌ・オットの輸出部長クリストフ・ルナールが、プロモーションで来日した。
 プロヴァンスはロゼワイン人気をけん引する産地。フランス国内だけでなく、輸出も強い。ニールセンによると、米国の小売商で販売される輸入ロゼワインの3本に1本はプロヴァンス産で、フランスからの輸入ワインの2本に1本はプロヴァンス産。オットはリーダーの一つ。2004年にシャンパーニュの名門ルイ・ロデレールの傘下に入り、品質に磨きをかけている。生産量は50万本。
 設立は1896年。1912年、コート・ド・プロヴァンス内陸部にシャトー・ド・セルを購入し、1935年に地中海に近いクロ・ミレイユ、1956年にバンドールのシャトー・ロマサンを取得した。日本にはクロ・ミレイユとシャトー・ロマサンが輸入されている。4銘柄を試飲した。


 初のセカンドワイン「ドメーヌ・オット バイ・オット・ロゼ コート・ド・プロヴァンス 2015」から。タマネギの皮の色、オレンジ、ピンク・グレープフルーツ、スモモ、フラワリーで、かすかにほろ苦みのあるモダンな辛口。余韻にカルダモンの甘いニュアンス。グルナッシュ70%、サンソー20%、シラー10%。コート・ド・プロヴァンスで産するワインの選別にもれたキュヴェから造る。これまでは売却していたが、シャトー・ド・セルに醸造施設を新設して瓶詰めするようになった。夏の海辺や木陰でカジュアルに楽しみたい。
 「ドメーヌ・オット クール・ド・グレン・シャトー・ロマサン バンドール・ロゼ 2015」はドメーヌの顔的な存在。オレンジがかったピンク、熟したレッドベリー、ブラッドオレンジ、ガリーグの香り。ムールヴェドルからくるコクがあるが、重さはない。スパイシーで、塩っぽく、余韻に黄桃の皮のほろ苦さ。ムールヴェドル56%、サンソー、グルナッシュ各21%、シラー2%。セニエでなく、優しく圧搾した果汁を低温で発酵させ、5000リットルの大樽で熟成する。オットは直接圧搾のロゼを始めたパイオニアだ。
 「ドメーヌ・オット クロ・ミレイユ ブラン・ド・ブラン 2014」はセミヨン70%、ロール30%。ロール(ヴェルメンティーノ)の酸を、ワクシーでフルーティなセミヨンが包みこむ。熟した白桃、ヨード香と、サントロペの海風を感じさせる塩っぽい味わい。地中海の滋味が出たブイヤベースとよく合うだろう。マルセイユの「ル・プティット・ニース」、モナコの「ルイXV・アラン・デュカス」など3つ星でもサーブされているという。
 「ドメーヌ・オット シャトー・ロマサン バンドール・ルージュ 2012」はしっかりした骨格とタンニン、ブラックベリー、黒コショー、あぶった肉の香りがあるフルボディ。余韻にほのかにミント。酸はおだやか。ムールヴェドル90%とグルナッシュ10%。

 ロデレールの醸造責任者ジャン・バティスト・レカイヨンが毎年、最終段階で試飲に来る。マロラクティック発酵を止めてフレッシュ感を出し、白ワインにユニブランをブレンドしなくなった。圧搾後に二酸化炭素を使って、酸化を防止している。世界のワインに通じるレカイヨンのアイデアで、細部を改善し、モダンにしている。
  オットのロゼは、米国ではビーチ・リゾートやアジア料理レストランで、魚にも肉にも合わせやすい点が人気だと言う。独特のボトルの形状は、ブランド性をアピールするためにアンフォラを模して1930年代に造られた。

2016年6月20日 東京・広尾で

ドメーヌ・オット バイ・オット・ロゼ コート・ド・プロヴァンス 2015
88点
希望小売価格:3000円
ドメーヌ・オット クール・ド・グレン・シャトー・ロマサン バンドール・ロゼ 2015
91点
希望小売価格:4700円
ドメーヌ・オット クロ・ミレイユ ブラン・ド・ブラン 2014
87点
希望小売価格:4400円
ドメーヌ・オット シャトー・ロマサン バンドール・ルージュ 2012
87点
希望小売価格:5500円
輸入元:エノテカ

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