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セントラル・オタゴの注目株、プロフェッツ・ロックのピノ・ノワール

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 NZセントラル・オタゴでいま最も注目を集めている生産者の一つが、プロフェッツ・ロックだろう。ドメーヌ・コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエの醸造責任者フランソワ・ミエ氏が、2015年ヴィンテージを、ここのスペシャルキュヴェとして仕込んだからだ。3000本しかないが、英国の評論家たちは待ち望んでいる。

 ここのワインメーカー、ポール・プジョル氏は6年間、世界各地で働いた。マールボロのセレシン・エステート、ロワール・サンセールのアンリ・ブルジョワ、オレゴンのレックスヒル、アルザスではクンツバのワインメーカーを外国人として初めて務めた。ハイライトは2009年に、ド・ヴォギュエで修業したことだ。この経歴を見れば、スタイルも想像がつくだろう。リースリング、ピノ・グリ、ピノ・ノワールを生産するが、白ワインも優れている。アルザスはリースリングの本場だし、オレゴンはピノ・グリが優れている。

 「ドライ・リースリング 2011」はライム、レモングラス、かすかな火打石。キレのいい酸があり、メロンの香りを伴う熟した果実が詰まっているが、全体のバランスは抑制されたミディアムな辛口。オリと接触させたことに由来する還元的なスタイルで、ディアムで栓をしている。数日たっても姿勢が崩れず、アルザスよりドイツを連想させる緊張感に包まれている。アルコール度は12.5%。

 「ピノ・グリ 2012」は黄桃、洋ナシ、白コショーの香りがあるアロマティックなスタイル。リースリングよりアルコール度が高く、13.4%。おおらか。果実は完熟していて、中間がふくらむが、シスト、水晶の混じる粘土石灰質土壌に由来するミネラルタッチと相まって、ほろ苦さを残す。酸の骨組みがしっかりしているので、5年は保つだろう。

 ピノ・ノワールは「ロッキー・ポイント 2012」と「プロフェッツ・ロック 2011」の2種。セカンド的なロッキー・ポイントは、チェリー、スミレ、ザクロの香りがあるジューシーなスタイル。凝縮力と複雑性でやや及ばない。プロフェッツ・ロックは傾斜がきつく、標高が320メートル以上のベンディゴ・ヴィンヤードの北向き斜面から。プラム、ダークベリー、中華系スパイス。タンニンはシルキーで、酸と果実のバランスがとれている。リッチな果実にほのかなハーブのニュアンスが絡みつき、チョーキーなミネラル感を伴う複雑な余韻につながる。セントラル・オタゴの日照の強さを感じさせるが、過熟にならないところでバランスをとっている。新樽比率は35%。ヘクタールあたり収量は35ヘクトリットル。これもディアム栓。
 セントラル・オタゴはNZで唯一、海の影響を受けない内陸の産地。豊満になりがちだが、プロフェッツ・ロックのワインはそこから逃れて、テンションを感じさせる。そのあたりが、ジャンシス・ロビンソンMWらヨーロピアン・パレットの評論家に愛される理由だろう。価格も手の届く範囲に収まっている。

2015年12月16日 自宅で
プロフェッツ・ロック ドライ・リースリング 2011
90点
参考小売価格:4300円
プロフェッツ・ロック ピノ・グリ 2011
89点
参考小売価格:4200円
ロッキー・ポイント ピノ・ノワール 2012
87点
参考小売価格:4700円
プロフェッツ・ロック ピノ・ノワール 2011
91点
参考小売価格:5900円
輸入元:GRN

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