クラマンの繊細さとシュイィのエレガンス、樽使いが冴えるダミアン・ウーゴ

　シャンパーニュのブラン・ド・ブラン愛好家は、コート・デ・ブラン地区の南部を格上にとらえる傾向がある。メニル・シュール・オジェとアヴィーズが最上というわけだ。メニルが典型だが、これらの村のシャンパーニュはある程度の時間がかかる。
　10年前の自分も南部に傾く癖があったが、近年は北部を見直している。グランクリュのシュイィとクラマン、プルミエクリュのキュイ。これらの畑の柔らかい果実、まろやかな酸、繊細なフィネスは、ホッと落ち着かせてくれるもので、料理に合わせて生きる味わいだ。


　エペルネに本拠を置くグローワーズのダミアン・ウーゴもまたそうした造り手だ。1990年に父の後を継いだ。シュイィ村のモンテギュー、クラマン村のブリケットというリューディを主体に、ピエリーやムーシー村にも畑を所有する。

　ベーシックなNVのブラン・ド・ブランはブリュットとエクストラ・ブリュットの2種がある。エクストラ・ブリュットの方がはるかによい。正確で、ピュアな果実がきめ細かな泡とともに立ち上がる。白い花、レモンの皮、パッションフルーツ。ビシッとしたミネラル感がきれいに表現されている。デリケートで、エレガンスを特色とするクラマンとシュイィの個性がよく表れている。

　ヴィエイユ・ヴィーニュは、1927年に植えたシュイィのモンテギューの古木から。グレープフルーツ、パンデピス、レモンオイル、焼き栗、まろやかなテクスチャーと横に広がるヴォリューム感が豊かな印象を与え、クリーミィな泡はよく持続する。エレガントな余韻にほろ苦み。小樽での発酵・熟成からくる複雑な味わいと、古木のもたらす力感のバランスがとれている。樽使いがこなれていて、4種のキュヴェの中で最も完成度が高い。

　ブリュット・ミレジム2006はクラマンのシャルドネが主体。クラマンは自己主張は強くないが、ブレンドに欠かせないクリュだ。この地の造り手はおしなべて水準が高い。ペリエ・ジュエのベル・エポックの軽快な繊細さを支えている。焦点があっていて、塩っぽいミネラル感、オレンジ、ブリオッシュ、白コショーの香り。バランスがいい。甘酸っぱい酸とほのかなオークが調和する。最初はオークが目立つが、酸素に触れるとハーモニーが生まれる。熟成によって進化するだろう。

2015年12月14日　自宅で
シャンパーニュ　ダミアン・ウーゴ　ブリュット　ブラン・ド・ブラン　NV
87点
希望小売価格：7200円
シャンパーニュ　ダミアン・ウーゴ　エクストラ・ブリュット　ブラン・ド・ブラン　NV
89点
希望小売価格：1万円
シャンパーニュ　ダミアン・ウーゴ　ブラン・ド・ブラン　ヴィエイユ・ヴィーニュ　NV
92点
希望小売価格：9400円
シャンパーニュ　ダミアン・ウーゴ　ブラン・ド・ブラン　ミレジメ2006
91点
希望小売価格：1万円
輸入元：ジ・オープナー