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こ惑的な香りとエネルギー、世界トップを行くクリスタル・ロゼ

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 ジャン・バティスト・レカイヨンとアンセルム・セロス。性格も、方向性も違うが、2人の造るロゼが最高峰を行くのは間違いない。こ惑的なクリスタル・ロゼに心奪われない愛好家はいないだろう。シャンパーニュ評論の権威トム・スティーブンソンのシャンパーニュ・スパークリングワイン世界選手権では、2年連続、世界一に輝いた。
 ルイ・ロデレールのロゼ・シャンパーニュ造りはユニークだ。7-10日間スキンコンタクトしたピノ・ノワールの果汁と、シャルドネの果汁を同じタンクで発酵させる。比率は55%と45%。ヴィンテージ・ロゼはキュミエールのピノ・ノワールを使うが、クリスタル・ロゼはアイのBonotte-Pierre-Robert(ボノット・ピエール・ロベール)とLa Cote du Moulin(ラ・コート・デュ・ムーラン)の区画を使う。シャルドネはアヴィーズとメニル・シュール・オジェ。

 「低温浸漬した発酵前の果汁を一緒に発酵することできれいに統合され、継ぎ目がなく、ジューシーなテクスチャーになる。ハーブティーのようなものだ。1974年に先代のジャン・フレデリック・ルゾーが考案した手法を今も使っている」
 「クリスタル・ロゼ 2007」は甘美で力強い。バラ、クランベリーのエキゾチックな香りにノックアウトされる。最初から開いている。酸と果実はきれいに溶けあい、全く乱れのないハーモニー。ヴェルベットのようになめらかなテクスチャー。たっぷりとしているが重さはない。深みがある。摘んだばかりの野イチゴを噛みしめるようなフレッシュな感覚が無限に広がり、尽きるところがない。2006より香りの強さと純粋さが増した。

 「クリスタル・ロゼは2007から100%ビオディナミに転換した。エネルギーがみなぎっている。いいロゼを造るには偉大なピノ・ノワールが必要だが、シャルドネも偉大でなければいけない。両者はウィン・ウィンの関係だ」と、ジャン・バティスト・レカイヨン。
 ビオディナミを始めたきっかけは、猛暑の2003年にリスクをとるまいと失敗したからだという。ビオディナミへの転換に取り組んでから、エネルギーとシームレスなテクスチャーが強くなったそうだ。7人の醸造家がブラインドで試飲すると、従来の農法より、ビオディナミの方が優れていると一致したという。ただ、ビオディナミの効用にも限界があるという。
 「クリスタルの畑は19世紀から変わっていない。戦前のカミーユ・オルリィ・ロデレール夫人から、彼女の孫のジャン・クロード・ルゾーまでグランクリュの畑を買い集めたおかげだ。最良の土壌がなければ、ビオディナミは効果を発揮しない。DRCもラトゥールもテロワールに恵まれている。ビオディナミは魔法の杖ではない」

 ニュースを教えてもらった。クリスタル1995のレート・ディスゴージド版は、来年に発売される。2016年後半はブリュット・ナチュール2009とクリスタル2009で忙しいせいだ。ドザージュは6、7グラム。オリとともに10年、デゴルジュマンして10年の熟成を経た。テクスチャーとフィネスにあふれたボトルだという。
 ルイ・ロデレールは、ラベルデザインにこだわったり、余計なおまけをつけたりしない。新商品には出すだけの意味がある。1年後が待ちどおしい。

2016年6月17日 シャンパーニュ・ランスのルイ・ロデレールで

シャンパーニュ ルイ・ロデレール クリスタル・ロゼ 2007
98点
価格:6万5000円
輸入元:エノテカ

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