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チャーチルのブレンド比率、ポル・ロジェの比較試飲で探る

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 ブレンド比率はシャンパーニュのカギを握る。ポル・ロジェの「サー・ウィンストン・チャーチル」は、公表していないが、その手掛かりが見つかった。
 入口が刷新されたエペルネの本社で、6つのキュヴェを試飲した。「ブリュット 2006」と「サー・ウィンストン・チャーチル 2004」の比較で、違いが浮かびあがった。2006は黄桃、プラム、トースト、しっかりした骨格にしなやかな筋肉がついている。2006らしい丸さがあり、親しみやすい。バランスはいいが、チャーチルに比べると線が細い。

 「サー・ウィンストン・チャーチル 2004」は2015年7月にデゴルジュしたもの。ヴィンテージの違いを抜きにしても、力強さとスケールの大きさで上回る。ブリオッシュ、アプリコットの香り、クリーミィなテクスチャー、リッチな果実味があり、細部まで埋め尽くされている。すきまがない。より男性的で、奥行きの深さとエレガンスもある。
 ヴィンテージ2006の比率は、ピノ・ノワール60%とシャルドネ40%。チャーチル2004はどう考えても、ピノ・ノワールの比率がより多い。感想を、ローラン・ダルクール社長に伝えると、「その通りだ」という。おそらく65%前後ではないか。70%以上では重くなる。
 「初めてのチャーチル1975を仕込んだ当時、シャンパーニュのブレンドは、シャルドネが今より多かった。現在の傾向はピノ・ノワールが多い。ブレンド比率を明かさないのは、チャーチルが気に入れば『すべて買う』と比率を気にしなかったから。現在のチャーチルを、彼が飲んだとしても、気にいってくれるだろう」

 チャーチルに使われるピノ・ノワールは、ヴェルジィ、ヴェルズネイ、アンボネイ、ブジー、アイのみ。シャルドネはメニル、オジェ、アヴィーズ、クラマン、シュイィ。ヴィンテージよって、ブレンド比率を調整して、一定した味わいに仕上げるという。
 「チャーチルはグランクリュのみ。シェフが同じ手法で調理しても、素材が違えば味わいは異なる。チャーチルとヴィテージとの違いはそこからくる」

 シャンパーニュ造りは装置産業の側面がある。ポル・ロジェが、醸造施設に巨額の投資を行って、品質を向上させたのは、主要なキュヴェを試飲してよくわかった。「エクストラ・ブリュット ピュア NV」は白桃、ビスケット、名前の通り、混じりけのない果実と透明な酸がある。現在のベースは2011年ヴィンテージ。「ホワイト・フォイル」と呼ばれる「ブリュット・レゼルヴ NV」は「ピュア」より色が濃く、ナッツの香り、まろやかさとリッチさがある。ベースは2010年ヴィンテージ。リザーヴワインは3ヴィンテージを25%使う。

 「いずれもブレンド比率がほぼ3分の1ずつなのは同じ。バランスは微妙に変えて、ピュアはフローラルなキュヴェを使う。ブリュット・レゼルヴは3年半から4年半の間、熟成していて、ほかのメゾンより1年は長い」と。シャンパーニュのブドウの価格は値上がりし続けていて、グランクリュは6.5から7ユーロにもなる。NVを1本造るのでも、ブドウ代だけで8ユーロかかるという。

 「ブラン・ド・ブラン 2008」はやや厳格だが、ビシッとした酸と剛直なミネラル。折り目のついたズボンのようだ。早摘みした2008のシャルドネの酸の強さがよく表れている。2007年、コート・デ・ブランのシャルドネは雨と暑さの影響で、樹についたまま実が茶色になる現象が出たため、その再現を恐れて、農家は早めに収穫したと言われる。「2008は1988のようだ」というローランの言葉はその通り。「ロゼ 2008」は赤みの強い赤銅色、桃の花、グミ、細身でエレガントだ。ブジー、アンボネイ、キュミエールが主体となっていて、ピノ・ノワールを10%ブレンドした。

2016年6月14日 シャンパーニュ・エペルネのポル・ロジェで

シャンパーニュ ポル・ロジェ ブリュット・レゼルヴ NV
89点
希望小売価格:7000円
シャンパーニュ ポル・ロジェ エクストラ・ブリュット ピュア NV
90点
希望小売価格:9000円
シャンパーニュ ポル・ロジェ ブラン・ド・ブラン 2008
92点
希望小売価格:1万3000円
シャンパーニュ ポル・ロジェ ロゼ 2008
91点
希望小売価格:1万3000円
シャンパーニュ ポル・ロジェ ブリュット 2006
93点
希望小売価格:1万3000円
シャンパーニュ ポル・ロジェ サー・ウィンストン・チャーチル 2004
95点
希望小売価格:3万円
輸入元:ジェロボーム

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