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マクロン大統領の再選、ワイン産業はどう受け止めた!?

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 フランスの大統領選で勝利したエマニュエル・マクロン大統領は、アルコール飲料の規制が強い風潮にもかかわらず、ワイン好きを公言してきた。ワイン産業は安堵したのだろうか。


 フランスでは、タバコ中毒とアルコール依存症対策として、アルコール飲料の広告を規制する通称「エヴァン法」が1991年に導入された。テレビ・映画での広告や競技場でのアルコール販売が禁止されている。妊娠中の飲酒に注意を喚起する絵文字や文言をアルコール飲料の容器に表示することが義務付けられている。


 そのため、歴代大統領はワイン嗜好を明らかにしない傾向があったが、マクロン大統領は違った。昼と夜に各1杯のワインを楽しみ、「ワイン抜きの食事は寂しい」とTerre de Vinsのインタビューでも語った。


 2019年には中国の習近平・国家主席をコート・ダジュールでの私的ディナーに招いて、3つ星シェフの料理に、ドルーアンのモンラッシェ2011、ペトリュス2002で遇するなど、外交にも生かしてきた。


 Terre de Vinsはマクロン大統領がワインの素性に迫るブラインド・テイスティングhttps://youtu.be/Xl0ri7anL68 の動画を投稿しており、優れたテイスターであることもうかがえる。


 こうした姿勢は禁酒団体の反発を買った一方で、ワインメディアは歓迎してきた。フランスを代表するワイン雑誌「La Revue du vin de France」(ラ・ルヴュ・デュ・ヴァン・ド・フランス)は1月に発表した「RVF Grands Prix 2022」で、マクロン大統領をパーソナリティ・オブ・ザ・イヤーに選んだ。


 RVFは「この40年間で初めて、大統領は『私は毎日、昼も夜もワインを飲む』と、はっきりと述べる大胆さを手に入れた。私たちにとってこれは最高のスローガンです」と授賞理由を述べた。


 授賞式でマクロン大統領は、ワイン関係者の前で、「自分たちが日々行っていることを誇りに思える」と述べ、「ワインの産地、ブドウ品種、気候、シャトー、古代の技術、料理芸術、ガストロノミー、それに合うワインを愛するのは、広い世界を受け入れることでもある」とあいさつした。


 選挙を左右したかどうかはわからないが、大きなワイン産地は少なくともマクロンに好意的だったようだ。


 EuroNewsが発表した2人の得票率データによると、ボルドーを生むジロンド県はマクロンが61.37%に対し、ルペンが38.63%。全国の58.54%対41.46%より、マクロンの得票率が上回っている。ブルゴーニュのコート・ドール県は57.27%対42.73%で、フランス全国とほぼ同じだった。


 一方、スペイン産ワインに押されて、生産者のテロが起きてきたラングドックのエロー県は、マクロンが52.57%なのに対し、ルペンは47.43%と両者の差が詰まっている。これは、かつてはEU離脱を主張した排外主義のルペンが支持されたとも読める。


 ただ、個別の村の投票率を見ると、同じ県内の村でも温度差がある。知名度の高い村か、裕福な住民の多い都市部かなどの違いがあり、単純に県単位では語れない。
 
 

2019年11月に上海の見本市を訪ねて習近平・国家主席と乾杯 AFPのYouTubeから
Terre de Vinsが投稿したブラインド・テイスティング

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