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天才ジャン・バティスト・レカイヨンが創造、ルイ・ロデレールのブリュット・プルミエ

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 大勢のメゾンのトップと会ったが、ルイ・ロデレールのジャン・バティスト・レカイヨンほど、論理的で、ビジョンのあるシェフ・ド・カーヴ(醸造責任者)はいない。会うたびに、発見や刺激がある。大半のシェフ・ド・カーヴは醸造に集中するが、醸造と栽培の両方を担当する彼の説明は、畑の個性や栽培と結びついている。
 ジャン・バティストはモンペリエのフランス国立農学学院 (ENSA)を、醸造と栽培の両部門で首席で卒業。先代のジャン・クロード・ルゾー社長にリクルートされた。カリフォルニアやオーストラリアのスパークリングのプロジェクトを経験し、ボルドーのピション・ラランドやポルトのラモス・ピントも監督している。視野の広さと経験がほかのシェフとは段違いだ。

 ルイ・ロデレールの強みは、クリスタル神話ではない。天才的な技術者と生産量の75%をまかなえる240ヘクタールもの自社畑を有することだ。グランクリュ比率も98%と高い。ジャン・バティストはだが、それに満足していない。2007年からビオディナミへの転換を始め、4分の1はビオディナミで耕作している。2007のクリスタルで使うビオディナミのブドウは20%、2009が50%、2012が79%、2020に100%を目指している。ビオディナミ100%のプレスティージュキュヴェなど前代未聞。グローワー(レコルタン・マニピュラン)は太刀打ちできない。
 クリスタルやブリュット・ナチュールに注目が集まるが、ベーシックな「ブリュット・プルミエ 」の水準は常に高い。出荷が始まった2012年ベースを試飲した。2011ベースより、まろやかさがある。レモン、オレンジの花、ナッツ、ピュアな果実があり、クリーミィな口当たり。ほのかにトースティなフィニッシュ。フレッシュで、正確で、エレガント。これは私にとって、シャンパーニュのメートル原器だ。

 「2012はいい年だ。丸さと柔らかさがある。フルーティで生き生きしている。シトラスやユズの香るスタイル」とジャン・バティスト。
 ドザージュはリットル当たり8グラム。ムニエが18%、残りはシャルドネとピノ・ノワールがほぼ半々。このNVのみ45%の買いブドウが含まれる。残り55%はグランクリュが大半を占める自社畑。ムニエは自社畑にないので、南向きの砂地土壌の畑のものを購入している。「ムニエは軽さとスパイシーさ、柔らかさを与える。自社畑比率を60%まで高めるのがゴールだ」と。
 70%がベースとなるヴィンテージで、残りはリザーヴワイン。リザーヴワインは6ヴィンテージにわたる。比率が高く、幅広い。6000リットルのフードルで熟成され、複雑さを加える。2012はマロラクティック発酵していない。近年では2011、2009、2006、2002はしていない。2014、2013、2011、2010、2008はフルマロをした。
 「熟したブドウがあって、バランスがよければマロは不要。リンゴ酸はピュアさを与える。マロしないのが基本だが、反対はしない。冷涼な天候の年にはマロする。オイリーで、クリーミーなタッチが加わる。マロはオークと同じくツールだ。レシピではない。ア・ラ・カルトで使う」

 ヴィンテージに応じて、調理法を変えることで、ブリュット・プルミエの水準が保たれている。そこには、メゾンの歴史、リザーヴワイン、ブレンディングなどすべてが詰まっている。ジャン・バティストは、ヴィンテージは作曲するが、ブリュット・プルミエは創造するものだという。

2016年6月17日 シャンパーニュ・ランスのルイ・ロデレールで

シャンパーニュ ルイ・ロデレール ブリュット・プルミエ
90点
価格:6800円
輸入元:エノテカ

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