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プレモックス対策と区画別醸造、エレガントに進化するジャック・プリウール

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 ジャック・プリウールは、ブルゴーニュ純血主義者にはピンとこないかもしれない。ボージョレから始まり、プリウールを買収し、ポムロールのルジェとシャンパーニュにもメゾンを展開する。当主エドゥアール・ラブリュイエール氏は、だが、ただの裕福な実業家ではない。女性醸造家ナディーヌ・ギュブランばかり目立つが、ワイン造りを職人的に追及している。

 2013のピュリニー・モンラッシェのプルミエクリュ、レ・コンベットを瓶から試飲した。5センチのディアム(DIAM)だった。自家ストックのコルトン・シャルルマーニュ2001でプレマチュア・オキシデーション(プレモックス)を発見した。同じロットの6本パックのうち2本が、プレモックスだった。試行錯誤の末にディアムに変えた。
 「2008年から、バトナージュはストップし、空気圧式圧搾機のプログラムも固形物が出るように変えた。清澄もろ過もしていない。白ワインの清澄度はだから低い。最後はコルクを疑うしかない。30年は熟成させられるワインで、コルクのリスクは冒せない。ビオディナミのリスクはとってもいいが、コルクはツールにすぎない」
 同じ5センチの天然コルクは1.3ユーロ、ディアムは0.8ユーロだが、これは経済的な問題ではないと。
 瓶の中身は完ぺきな状態。レモンの皮、白桃、ベイビー・パイナップル、濡れた小石。酸はしっかりとしつけられ、焦点が合っている。豊かさと新鮮さのバランスがいい。ムルソー・シャルム下部のドゥスーに近い1.5ヘクタールの南向き斜面。日照が豊かなので、早く摘むという。

 樽から試飲したグランクリュの2014はテロワールの違いを示す水平試飲となった。クロ・ド・ヴージョは濃厚なダークチェリー、ラズベリー。粘土の多さを感じる厚いタンニン、グリップの強いワインだ。シャトー・ド・ラトゥールの北端の畑の下部に広がる。
 コルトン・ブレッサンドはDRCの畑の隣にある。樹齢55年。南東向き。やや引きずるタンニンがあるが、奔放で、重さはない。エシェゾーはデリケート、赤系ベリーのフレッシュな味わい。DRCの畑に近く、アン・オルヴォーから吹き下ろす冷風の影響でエレガント。スパイシーで抑制された味わい。
 シャンベルタンは樹齢60年と25年の区画を、別に仕込んでいる。ナディーヌがブラインドで試飲し、若樹の畑はおおむねジュブレ・シャンベルタン・プルミエクリュに格下げする。明確な違いがあり、25年の区画はジューシーで柔らかく、レッドチェリーの香り。やや樽が浮いている。隣の畑はドメーヌ・ルロワ。「値段は違うが」と言うので、日本での2013の64万8000円という価格を教えたら「正気でない」と。65年の区画は黒スグリ、黒コショー、骨組みは頑強で、マッチョ。力感とスケールの広がりが全く違う。これを別々に仕込むのは当然だろう。
 最後はミュジニー。南部に位置する0.77ヘクタールのラ・コンブ・ドルヴォーの区画から。抽出は強めだが、小渓谷からくる冷風のおかげで引き締まっている。フラワリーで、ラズベリー、紅茶の葉。羽毛のように軽やかなタッチ。塩っぽさを伴うミネラルタッチ。シャンベルタンより凝縮したエネルギーを秘めて、正確で、はるかに長い。やはりミュジニーは世界が違う。
 数年前より、よりエレガントな方向にシフトしているジャック・プリウール。環境に配慮して、木箱を紙箱に変えたり、偽造防止のコードをラベルと紙箱に入れるなど、細かく目配りしている。

2015年11月2日 ムルソーのドメーヌ・ジャック・プリウールで

ドメーヌ・ジャック・プリウール ピュリニー・モンラッシェ・プルミエクリュ・レ・コンベット 2013
92点
ドメーヌ・ジャック・プリウール クロ・ド・ヴージョ 2014
90~92点
ドメーヌ・ジャック・プリウール コルトン・ブレッサンド 2014
90~92点
ドメーヌ・ジャック・プリウール エシェゾー 2014
91~93点
ドメーヌ・ジャック・プリウール シャンベルタン 樹齢25年 2014
87~89点
ドメーヌ・ジャック・プリウール シャンベルタン 樹齢60年 2014
92~94点
ドメーヌ・ジャック・プリウール ミュジニー 2014
93~95点

輸入元:ジェロボーム

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