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初のレート・ディスゴージドNV、ゴッセの「キャーンザン・ド・カーヴ・ア・ミニマ・ブリュット」

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 ノンマロを貫くシャンパーニュのメゾン、ゴッセの新醸造責任者オディロン・ド・ヴァリーヌが、熟成期間を長くとったスぺシャルキュヴェ「15 ans de Cave a Minima Brut NV」(キャーンザン・ド・カーヴ・ア・ミニマ・ブリュット)を引っ提げて来日した。
 ド・ヴァリーヌは5月に亡くなったジャン・ピエール・マレネの後任。ドゥーツやアンリオのシェフ・ド・カーヴを務めた。家族経営のゴッセはノンマロを堅持する数少ないメゾン。リンゴ酸を残したフレッシュな味わいを崩さない。新発売の「15 ann」は名前通り、15年間の瓶内熟成を経て世に出る。1999年にティラージュ(瓶詰め)され、ヨーロッパで3月に発売された。日本には限定600本。

 鉄棒や砕いた石をなめるような硬さがあり、快活な味わい。泡立てたバター、リンゴの蜜、ヨード香、テクスチャーはシルキーで、オリっぽさを残すが、バランスがよく、余韻は長い。ノンマロの酸は15年を経てこなれている。快活な味わいと熟した香りの対比が心地よい。ノンヴィンテージのレート・ディスゴージドは、ヴィンテージ物より統合感とフィネスを感じさせる。最初からバランス重視でブレンドしているからだろう。90年代の複数ヴィンテージをブレンドした。シャルドネ60%、ピノ・ノワール40%。ドザージュは7グラム。
 瓶内熟成を長くし、デゴルジュマン(オリ抜き)を遅らせるレート・ディスゴージドは、通常はヴィンテージ物で仕込む。メゾンが熱心に取り組んでいるが、NVは珍しい。NVは早くから飲めるように造られるが、15年間を経てきれいに熟成もしていた。ノンマロからくる熟成力の表れに違いない。デゴルジュマンによる味わいの違いを考える上で興味深いキュヴェ。

 「ノンヴィンテージも長期熟成させられることを示したかった。せわしない世の中で、ゆっくりと流れる時間を感じて欲しい。ノンマロは熟成力がある。泡はワインを守る役目を終えて、弱くなっている。カラフェして白ワインのように味わうのもいい」と狙いを語る。
 ベーシックな「グランド・レゼルヴ・ブリュット」のベースヴィンテージ違いも試飲した。「グランド・レゼルヴ・ブリュット」(2010ベース)は白い花、青リンゴ、チョーキーなテクスチャー、フィニッシュに向けてピントを絞りこむような正確さがある。ノンマロならではのフレッシュ感が際立っている。
 「グランド・レゼルヴ・ブリュット」(2007ベース)はカマンベールの皮、ナッツ、ブリオッシュ、デゴルジュマン後の長い熟成期間からくるトースティな香り、ブラウンバターのほろ苦さが、味わいのフレッシュ感と調和している。2010ベースのチョーキーなフレッシュ感にとどまらない、ポスト・デゴルジュマンの複雑さがある。

 最後にフラッグシップのセレブリスの白とロゼ。「セレブリス エクストラ・ブリュット 2002」は驚異的なフレッシュさ、2年前に飲んだ時よりはるかにハーモニーとメローな感覚がある。レモンカード、アプリコット、カモミーユ、エネルギーが中心に向かって集中している。低いドザージュを感じさせないまろやかなテクスチャー。ブレンドはほぼ半々。ドザージュはリットル当たり6グラム前後。
 「セレブリス エクストラ・ブリュット 2007」は淡いタマネギの皮の色、クランベリー、赤ピーマン、ミント、シャルドネの酸とフレッシュ感が優勢で、きちんとコントロールされたフェノールときれいに統合されている。瓶内熟成期間を短めにして、果実の生き生きした味わいに重点を置いている。アイに本拠を置くピノ・ノワールで有名なメゾンが、シャルドネに重点を置いたエレガントなロゼ。シャルドネ59%、ピノ・ノワール41%。

2016年7月12日 東京・西麻布で

シャンパーニュ ゴッセ キャーンザン・ド・カーヴ・ア・ミニマ・ブリュット NV
93点
参考上代:1万8000円
シャンパーニュ ゴッセ グランド・レゼルヴ・ブリュット」(2010ベース)
89点
参考上代:9400円
シャンパーニュ ゴッセ グランド・レゼルヴ・ブリュット」(2007ベース)
91点
参考商品
シャンパーニュ ゴッセ セレブリス エクストラ・ブリュット 2002
96点
参考上代:2万4000円
シャンパーニュ ゴッセ セレブリス エクストラ・ブリュット・ロゼ 2007
94点
参考上代:2万8000円
輸入元:テラヴェール

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