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オルネッライアのブランド戦略、ジョヴァンニ・ゲッデス・ダ・フィリカーヤCEOに聞く

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 スーパータスカンのオルネッライアを国際的スーパーブランドに育てたジョヴァンニ・ゲッデス・ダ・フィリカーヤCEOが来日し、22日、戦略とビジョンを、日本のメディアに対して初めて語った。
 ジョヴァンニはオルネッライア、カステルジオコンド、ルーチェ・デッラ・ヴィーテの親会社「テヌーテ・ディ・トスカーナ」のCEO。1970年代にワイン&スピリッツの輸入会社に入り、アンティノリやフレスコバルディのCEOを歴任した。ロバート・モンダヴィとルーチェ・デッラ・ヴィーテのジョイント・ヴェンチャー設立でも手腕を発揮。家族経営が中心のイタリアワイン産業にあって、グローバルな経営手腕とラグジュアリーなマーケティング感覚を有する経営者だ。

 1981年にトスカーナ州ボルゲリに設立されたテヌータ・デッル・オルネッライアは、カベルネ・ソーヴィニヨン主体のオルネッライアとメルロ100%のマッセートの2枚看板を抱える。フレスコバルディ家が所有するが、運営は独立して行われている。注目すべきは、7ヘクタールの単一畑から産するマッセートのマーケティング。2009年からボルドーのシャトーワイン同様に、ネゴシアンを通じて販売を始めた。イタリアワインで初の試み。自由市場に委ねたことで、マッセートはラグジュアリー・ブランドとして確立された。代理店で売るイタリア、米国、カナダを除いて、高値をつけている。
 「マッセートは今月末までに醸造所の建設を始め、2018年半ばに完成させる。オルネッライアと同じ敷地内にあっても、働く人々も、畑も、醸造施設も、施設にアクセスする道も違う。オルネッライアとマッセートを分けるのだ」とジョヴァンニ。
 これはシャンパーニュのモエ・エ・シャンドンがドン・ペリニヨンを独立した高級ブランドとして育てた戦略と似ている。両方のブランド・イメージにプラスになり、品質をさらに向上させられる。
 トスカーナは、家族経営のアンティノリとフレスコバルディという2大帝国の下に、多彩なブランドがあるが、個別の戦略は確立されていない例が多い。
 「その通りだ。オルネッライアは独立した形で運営するのが、フレスコバルディ家の意図だった。それがブランドの認知には大切だから」
 オルネッライアは、トスカーナの沿岸ボルゲリの地でボルドー品種を土着品種として育てて大成功した。大西洋の影響を受けるボルドーと違って、地中海の温暖で安定した気候に恵まれたテロワールを表現している。ジョヴァンニは、2006年ヴィンテージから「ヴェンデミア・ダルティスタ」(アーティスト・ハーベスト)のプロジェクトを立ち上げた。収穫年の個性を芸術家が解釈し、ワイナリー内のインストレーションや特別ラベルで表現している。109本の大容量瓶に特別ラベルを張り、チャリティ・オークションをしている。

 「偉大なワインは収穫年ごとに特色がある。前年のコピーはしない。2012年ヴィンテージから、市販する6本入り木箱に1本、アーティストラベル瓶を入れている。消費者にも収穫年ごとの違いがあることを視覚的に訴える。芸術とワインのシナジーを重視している」
 アーティストラベルの元祖はシャトー・ムートン・ロートシルトだが、中世からワインと芸術が栄えたトスカーナらしい試みだ。1994年までさかのぼる古いヴィンテージをオークションで売る「アーキヴィオ・ストリコ」も1月に行い、熟成能力を示した
 オルネッライアはトスカーナを超えた世界ブランドだ。ロドヴィコ・アンティノリ伯爵が設立した当初から、国際的な人材が集まり、それを支えてきた。カリフォルニアの祖アンドレア・チェリチェフが創設に関わり、ミシェル・ロランがコンサルタントを務め、シャトー・パルメ現社長のトマース・デュルーも栽培・醸造責任者を務めた。2005年からアクセル・ハインツがワインメーカーを務め、正確さを増している。「規模は小さいが、一致団結した時は力を発揮する」と。
 日本をアジアの最重要市場と見なしていて、イタリア大使館で23日、大きなイベントを開く。米国、ドイツ、スイスでも開いた。「日本でも他国同様のステイタスに高めたい。品質を訴え、ハイエンド・レストラン、高級ワインショップ、コレクターがターゲット」という。
 日本リカー(03-5643-9780)。

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