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抽出控えてエレガンスを志向、ドメーヌ・ペロ・ミノ

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 ワインのスタイルには流行がある。ブルゴーニュは1990年代の抽出も新樽も強いスタイルから、現在は反対の方向に向かっている。モレ・サン・ドニに本拠を置くドメーヌ・ペロ・ミノもその一つだ。ピジャージュをルモンタージュに変え、2005年以降は、淡い色調の、エキスを生かしたスタイルに変わった。

 「2005年は力強い年で、優しく造ろうとしても無理だったが、2006年から抽出を控えたエレガントなスタイルに変えた。市場の動向や隣の生産者を見て変えたのではない。ルーミエのボンヌ・マールを真似しても、自分らしくないだろう。芸術的な感覚の世界だ」と、当主のクリストフ・ペロ・ミノは語る。スタイリストの学校に通い、オートクチュールの世界で働いていた人らしい。
 ドメーヌ設立は1973年と若いが、2000年にペルナン・ロッサンを取得し、自社畑は10.2ヘクタール。ジュブレ・シャンベルタン、シャンボール・ミュジニー、モレ・サン・ドニなどに広く所有する。クリストフは、長い選果台に18人を張り付けて選別し、オリ引きせずに、20%の新樽で熟成する。熟成期間は村名で12か月間、1級で13-15か月間、特級で13-16か月間。

 マゾワイエール・シャンベルタンとシャルム・シャンベルタンの2013と2012をそれぞれ比較試飲した。「マゾワイエール」は英語で発音しにくく、所有面積も狭いため、大半の生産者は「シャルム・シャンベルタン」の名で詰めて発売する。マゾワイエール・シャンベルタンを出すのは、ペロ・ミノのほかに、デュガ・ピィ、トプノ・メルム、カミュなど少ない。
 ペロ・ミノが別々に詰めるのは、隣接する2つの畑のテロワールが異なるからだ。
 「シャンベルタンのすぐ下にある区画の私のシャルムは、表土が浅く、水はけがよくて、小石があり、独特のミネラル感がある。きれいな酸の、赤系果実の香るみずみずしいワインができる。マゾワイエールは表土が深く、スパイシーで、ミントやタバコの香りのある野生的なニュアンス。骨格がよく、熟成能力も高い」
 「シャルム・シャンベルタン 2013」はブルーベリー、ラベンダーに火打石の香り。シルキーで、ピュアな果実、焦点があっていて、華やか。軽やかなフィネスがある。「マゾワイエール・シャンベルタン 2013」はスミレ、チェリー、シナモン、果実の厚みがあり、骨組みがしっかりしていて重心が低い。密度と集中力がある。
 「シャルム・シャンベルタン 2012」は、2013より凝縮度が高く、スミレ、ローズペタル、ラズベリー。エネルギーが強く、生き生きしている。バランスのとれた味わいで、フィニッシュは正確。「マゾワイエール・シャンベルタン 2012」はダークチェリー、ブラウンシュガー、モカ、圧倒的な凝縮度とスムーズなテクスチャーがきれいに両立している。長くまとわりつく余韻が、熟成のポテンシャルを物語る。
 「2011年はクラシックで、適度な酸がある。2012年は日照量を反映して果実の凝縮度が強い。2013年は低い収量で、深みとスパイシーさがある」とペロミノ。

 ニュイ・サン・ジョルジュ・レ・ミュルジュ・デ・クラVVの2013、2012、2011の垂直試飲も行った。近年のペロ・ミノのテロワール表現が明確にわかった。

2016年4月22日 東京・六本木で

ドメーヌ・ペロ・ミノ シャルム・シャンベルタン 2013
92点
ドメーヌ・ペロ・ミノ シャルム・シャンベルタン 2012
94点
ドメーヌ・ペロ・ミノ マゾワイエール・シャンベルタン 2013
93点
参考価格:4万2700円
ドメーヌ・ペロ・ミノ マゾワイエール・シャンベルタン 2012
95点
ドメーヌ・ペロ・ミノ ニュイ・サン・ジョルジュ・レ・ミュルジュ・デ・クラVV 2013
89点
参考価格:9800円
ドメーヌ・ペロ・ミノ ニュイ・サン・ジョルジュ・レ・ミュルジュ・デ・クラVV 2012
91点
ドメーヌ・ペロ・ミノ ニュイ・サン・ジョルジュ・レ・ミュルジュ・デ・クラVV 2011
90点
輸入元:ファインズ

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