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オレゴンのピノ・ノワールに新指標、ルイ・ジャドのレゾナンス・ヴィンヤード

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 ブルゴーニュのメゾン・ルイ・ジャドが米オレゴンに進出して造った「ピノ・ノワール レゾナンス・ヴィンヤード ヤムヒル・カールトン 2013」が4日、世界に先駆けて日本でお披露目された。


 レゾナンスは、ルイ・ジャドの初の海外展開。2012年にオレゴンのウィラメット・ヴァレーにある畑を購入し、2013年ヴィンテージをこのほど売り出した。現地の社長はメゾンのピエール・アンリ・ガジェ社長の息子ティボーが務め、2012年に引退したジャック・ラルディエール氏が醸造責任者。オリヴィエ・マスモンデ輸出部長は「25年前からいい土地を探してきた。2012年に偶然、売りに出た畑を現地にいたジャックが見つけ、ピエールに電話してすぐに決まった」と語る。


 オレゴンは、ジョゼフ・ドルーアンが1987年に進出してから、ピノ・ノワール産地として注目されるようになった。カリフォルニアより北にあり、概して冷涼だが、秋の雨が多い。レゾナンス・ヴィンヤードは自根の樹が残り、灌がいはしていない。標高は80から150メートル。海が隆起した土地で、海洋性の堆積物と玄武岩が主な土壌。デビュー作の2013は開放式ステンレスタンクで発酵し、30%新樽のフレンチ・バリックで20か月間熟成した。全房発酵を20%導入した。
 透明感のあるクリムゾンレッド。レッドチェリー、ザクロ、オレンジの皮の香り、スパイシーなタッチがある。一貫したきれいな酸があり、優しく抽出された果実はジューシー。ミンティなほろ苦みと淡い色調は、平均的なオレゴンよりはるかに、ブルゴーニュを連想させる。同時に飲んだルイ・ジャドのヴォーヌ・ロマネ2013と、色だけなら見分けはつかない。


 優雅に伸びる余韻にまとわりつくミネラル感は、石灰岩土壌からくるチョーキーなニュアンスと違って、火山性土壌に由来する鉄分とほろ苦みが入り混じる。そこがヴォーヌ・ロマネとは違う。全房発酵に根差すほの青さは、ヨーロッパ的な味覚の持ち主には好まれる複雑さだが、果実味を好むアメリカ人はどう受け止めるか。やや強い茎のニュアンスを、ブルゴーニュより長い20か月間の樽熟成期間で、統合したかったのだろう。さすがのラルディエールも、畑の購入からわずか1年では、試行錯誤があったと思われる。


 2013年は早めに摘み、9月末の嵐の前に2回目の収穫を行った。アルコール度は13.1%と控えめ。手探り状態で、ここまでまとめ上げたのは、40年以上のキャリアを誇るラルディエールならでは。今後、バイオダイナミックスを推進し、畑の理解が深まり、自前の醸造所も新設すれば、さらに向上するだろう。
 オレゴンには、その後、ルイ・ミシェル・リジェ・ベレール、ジャン・ニコラ・メオらトップ生産者が続いている。アメリカナイズされてきたドルーアンとは異なる、オレゴンのピノ・ノワールの新しい指標をレゾナンスは作った。日本人は好む味筋だ。2000ケース生産され、10%が輸入される。

2016年2月4日 東京・日本橋のマンダリンオリエンタル東京で
ルイ・ジャド ピノ・ノワール レゾナンス・ヴィンヤード ヤムヒル・カールトン・オレゴン 2013
90点
希望小売価格: 8800円
輸入元:日本リカー

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