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業務用ワイン販売「リカーショップ愛」の代表取締役社長に谷彰氏が6月に就任した。前代表取締役の本田夏子さんは代表取締役相談役に退いた。
リカーショップ愛は安井康一さんが1988年に創業した。日本にワイン市場が広がる中で、安井さんの目利き力とネットワーク力で、インポーターと料飲店をつないで成長した。2012年に本田社長が継承したが、酒類・食品卸売業の日本酒類販売が2022年11月に発行済株式の100%を取得した。谷彰氏は日本酒類販売の西日本第二支社長を務めていた。
リカーショップ愛は安井さんのカリスマ的なリーダーシップで高級ワインの牽引役だったが、現在は食材とワインの卸売商社「TATSUMI」が市場での地位を築いている。TATSUMIのワイン年間売上高は73億円。リカーショップ愛の2倍以上と見られる。
オーナー社長の交替が業績に影響を与えることは避けられない。安井さんと長く取り引きのあった人気飲食店の社長は「安井さんはワインの目利きなだけではなく、人のつながりを大切にしてくれる営業マンでもあった」と安井さんの時代を懐かしむ。
安井さんを特色づけていたのは、営業マンが真剣勝負の試飲をしてワインを選んでレストランに送付していたワインリストにあるが、会社が移転したこともあり試飲会に気軽に足を運べなくなったという事情がある。紙のカタログ自体が時代から外れていったと見る人もいる。
輸入ワインや日本ワインが多様化する中で、自然派ワインなど新たな主流を見抜いたベテラン社員が巣立ったことを調整の余地がある領域として指摘する声もある。
谷社長は「社員が企画を考えて外に出て行動するという理想的な状況になっている。風通しのよい風土を育む取り組みを進め、社員にどんどん仕事を任せたい。アイデアが出てきて業績も上向いている」と語った。30年以上にわたって培った輸入元や料飲店との人脈は生きており、活性化することにより新体制の下でさらなる成長を目指すことを狙っている。
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