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日本はブルゴーニュの愛好家だらけだが、ここ数年の価格高騰でさすがに手が届かなくなってきた。現在の状況でシャルドネやピノ・ノワールを探すとしたら、カリフォルニアとオーストラリアの冷涼産地、チリと南アフリカの沿岸部あたりが射程に入る。視点を変えて、フランス国内のリースリングやソーヴィニヨン・ブラン、シュナン・ブラン、サヴァニャンを探すのもいい。
アルザスは有力な代替産地だ。グリーン・ガイドで3つ星に昇格したボットゲイルを試飲して、リースリングの魅力を改めて認識した。実は15年前に出した新書で紹介している造り手なのだ。アルザスはマルセル・ダイスとツィント・フンブレヒトが4つ星で、ボット・ゲイル、アルベール・マン、ヴァインバックら6ドメーヌが3つ星にランクされている。
アルザスを飲もうとする時の障害が、多彩な品種、わかりにくい格付け、多彩な土壌の複雑さなどだ。テロワールを理解する簡単な方法を、ボットゲイルを輸入するヴァンパッシオンの川上大介社長が紹介してくれた。手がかりは標高と土壌である。この法則を基にリースリングをとらえてみる。アルザスはひとまずリースリングから入ろう。
標高100mから400mの5段階に分けて、リースリング一択でブルゴーニュと比較しながら説明しよう。平野部の100m以下は沖積土壌で大量生産的なタイプを生む。
100mを超す斜面下部は表土の薄い石灰岩土壌。暖かくて湿気が多く貴腐がつきやすい。肉厚なバタール・モンラッシェ的なタイプを生む。その上の斜面中部はやや暖かく湿気は少ない。骨格と肉付きの両方を持つモンラッシェ的な辛口を生む。斜面上部は花崗岩が混じり、冷涼で湿気は少ない。凛とした長期熟成型のシュヴァリエ・モンラッシェ的なリースリングを生む。
ビオディナミ 6つのグランクリュを所有
1795年からの歴史を有するドメーヌ・ボットゲイルの本拠地はべブレンハイム。当主のジャン・クリストフ・ボットはヘンチキやコント・ラフォンで経験を積んで1993年から責任者を務めている。
2002年にビオディナミに転換し、ビオディヴァンから認証を取得している。ピノ・ノワール3haを含む18haの畑から年産8万本。野生酵母で発酵させ、グランクリュの収量は30-35ha(規定50-55ha)に抑えている。SO2は低温浸漬時に3g/Lだけ添加する。
リボーヴィレからキエンツハイムまで7つのコミューンに広がる80区画を有する。6つのグランクリュの最上区画を所有している。
「ドメーヌ・ボット・ゲイル リースリング レゼレマン 2023」(Domaine Bott-Geyl Riesling Les Elements 2023)はグランクリュのブドウを40%以上ブレンド。青リンゴ、洋ナシ、ジューシーでリニアなテクスチャー。生き生きした酸、抑制された果実味、純粋で緻密なフィニッシュ。素晴らしい入門編。90点。5000円。
「ドメーヌ・ボット・ゲイル リースリング クローネンブール 2022」(Domaine Bott-Geyl Riesling Kronenbourg 2022)はショーネンブールの東側につながる南東向きの畑。石灰岩や水晶の混じる泥灰土壌。リッチな果実味がボディを引き締める繊細な酸と調和している。洋ナシ、レモンの皮、マンゴ、なめらかなテクスチャー、塩気を帯びた余韻。9000円。93点。
「ドメーヌ・ボット・ゲイル リースリング グラフェンレーベン 2019」(Domaine Bott-Geyl Riesling Grafenreben 2019)は南東向きで斜面下部に位置する。熟した洋ナシ、リンゴ、ほのかにチョーキー、生き生きしている。フレッシュな余韻が長く続く。9000円。93点。
テロワール映す3つのグランクリュ・リューディ
グランクリュのリューディは正確さと透明感が際立っている。
「ドメーヌ・ボット・ゲイル リースリング マンデンベルグ グランクリュ 2019」(Domaine Bott-Geyl Riesling Mandelberg Grand Cru 2019)はカルシウムやマンガンの多い石灰岩土壌。南東向きの斜面下部。フリンティでほのかにケロシンのノート、ワクシーなテクスチャー、さわやかなレモン、熟した洋ナシ。チョーキーな余韻が塩気を帯びている。1万1000円。94点。
「ドメーヌ・ボット・ゲイル リースリング ショーネンブール グランクリュ 2019」(Domaine Bott-Geyl Riesling Schoenenbourg Grand Cru 2019)は標高330-380mの斜面中腹の石灰質マール土壌。クリーミィなテクスチャー、果樹園の果実、青リンゴ、香り高くてリッチ。丸みがあり、しっかりした構造、砕いた石をなめるようなミネラル感を帯びている。塩気を帯びた余韻は透明感に包まれる。1万1000円。95点。
「ドメーヌ・ボット・ゲイル リースリング シュロスベルグ グランクリュ 2019」(Domaine Bott-Geyl Riesling Schlossberg Grand Cru 2019)は標高300-400mの南向き急斜面。鉄っぽいミネラル感をもたらす花崗岩土壌。柔らかい口当たり、熟した果実と砕いた石、アーシーなニュアンスがあり、キレのいい酸とリッチな果実味が調和している。純粋で透明感がある。緻密で澄んだシャープなフィニッシュ。1万2000円。95点。
3つのグランクリュはテロワールの違いを反映している。ブルゴーニュのグランクリュに比べるとはるかにお手頃で、ペアリングの可能性も高い。
輸入元はヴァンパッシオン。
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