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春めいてくると軽やかな白ワインが飲みたくなる。最近のマイブームはチャコリである。アルコール度は11%まで。生き生きした酸と塩気があり、すっきりした味わい。微発泡で飲みやすい。グラスが進む。新鮮な魚介類から山菜、湯葉豆腐まで守備範囲は広い
リオハを訪ねた時にこの白ワインの魅力に気づいた。
バスク地方の3つの県にそれぞれ1つずつ、3つの原産地呼称(DO)がある。アラバ県のアラバコ・チャコリーナ(Arabako Txakolina)、ビスカヤ県のビスカイコ・チャコリーナ(Bizkaiako Txakolina)、ギプスコア県のゲタリアコ・チャコリーナ(Getariako Txakolina)。ゲタリア村周辺に位置するゲタリアコ・チャコリーナの生産量が最も多い。
ゲタリアコは年間雨量が1600ミリを超え、スペインのワイン産地で最も多い。ブドウ畑は海岸に近く、春の霜や夏の暑さから守られている。主要ブドウ品種は自生種のオンダラビ・ズリ(HondarrAbi Zuri)で、栽培面積の9割以上を占めている。
バスク地方のバーではかつて、だれもがチャコリを飲んでいた。農家が自家製で手造りしていた。現在はバーの最初の1杯はCana(グラスの生ビール)になったが、チャコリの魅力が薄れたわけではない。タコや生ハムを使うタパスのお供にベストマッチだが、和の食材もオリーブオイルやガーリックを使うことで接点が生まれる。
パーカーも試飲していたチャコリ
ワイン・アドヴォケイトのスペイン担当ルイス・グティエレスはサンセバスチャンに旅する際に、ロバート・パーカーからチャコリの試飲を勧められた逸話を紹介している。パーカーのパレットは柔軟だった。カジュアルだからといって無視するのはもったいない。どんなワインにも魅力がある。
「イナシオ・ウルソラ」(Inazio Urruzola)はスペイン料理を代表するサンセバスチャンの3つ星「アルサック」で食前酒に使われている。タパスだけでなく、どんな料理にもマッチするからだという。ふところは深いのだ。
歴史は14世紀にさかのぼる。ビスケー湾から8キロの標高350mの高地で造られている。品種と区画別に醸造して低温で発酵させ澱とともに3-4週間接触させる。
「イナシオ・ウルソラ チャコリ ブランコ 2023」(Inazio Urruzola Txakolina Blanco 2023)はまろやかな口当たり、スイカズラ、ライム、青リンゴ、引き締まっていて、シュールリーからくるミネラル感が心地よい。かすかな泡が刺激と飲みやすさを与えてくれる。出汁的な塩味を帯びたフィニッシュ。アルコール度は11%。2杯目、3杯目とつい手が伸びる。オンダラビ・スリ80%、シャルドネ15%、プチ・クルビュ5%。3200円。89点。
「イナシオ・ウルソラ チャコリ ロサド 2023」(Inazio Urruzola Txakolina Rosado 2023)はオンダラビ・スリ80%、オンダラビ・ベルツァ20%。クランベリー、ミラヴェル、フレッシュなハーブ、テクスチャーは柔らかくて丸い。はつらつとした酸。柔らかいムース、軽快な味わいで、余韻に濡れた石。3500円。88点。
似たワインを探すとなるとロワールのミュスカデやポルトガルのヴィーニョ・ヴェルデが思い浮かぶ。ミュスカデより厚みと果実味がふくよかで、オイリーな料理も受け止める。生牡蠣や刺し身にこれほど合うカジュアルなワインはそれほど多くない。
輸入元はヴァンパッシオン。
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