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「ロランがパーカーのためにワインを造ったのではなく、ロバートがミシェルのワインを気に入っただけ」

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 78歳で亡くなったミシェル・ロランの追悼式が先月27日、ポムロールの教会で行われ、200人を超すワイン業界の大物が詰めかけて故人に追悼の意を表した。


 Vitisphereによると、兄弟のジャン・ダニエル・ロランは「ロバート・パーカーのためにワインを造ったのはミシェル・ロランではなく、ロバートがミシェルのワインを気に入ったのだ」と語ったという。


 司祭は冒頭で「ワインの世界は巨匠の一人を失った」と述べた。追悼式には、家族、同僚、名門ワイナリーのオーナー、ワイン商、同業のコンサルタントら200人以上がサン・ジャン教会内に詰めかけ、約50人が屋外で追悼した。


 ジャン・ダニエル・ロランによると、コンサルティングのアイデアはサンテミリオンのシャトー・ダッソーの責任者から頼まれて「土壌の耕作から瓶詰めまで、あらゆることをアドバイスする人が必要だっことから始まった」という。


転機となったロランとパーカーの出会い


 ミシェルのキャリアの転機は1982年に出会った若いアメリカ人夫妻との出会いだった。女性はフランス語を話せたが、男性は話せず、どのワイナリーにも入れなかった。夫妻は翌年、1982ヴィンテージのプリムール試飲のために再びボルドーを訪れ、ミシェルがもてなした。


 パーカーは1982ヴィンテージを称賛し、ニュースレター「ワイン・アドヴォケイト」に書いた。国際的な評論家がキャリアをスタートさせた瞬間だ。ミシェルはコンサルタントとして、パーカーは評論家として、1980年代にスターの階段を駆け上がった。その後、30年間にわたる黄金時代にワイン業界に大きな影響を与えた。


 ジャン・ダニエルは追悼式でミシェルの役割をこう説明した。「ロバートのためにワインを造ったのはミシェルではなく、ロバートがミシェルのワインを愛したのです。それは同じことではありません」と。


 2人はすぐにお互いを尊敬し合うようになったが、ミシェルは生前、パーカーに合わせてワインを造っているという噂を強く否定していた。


 「パーカーはただ良いワインが好きだっただけ。ラフィットはパーカーからいつも高い評価を得ていたが、私はそんなワインを造ったことはない。ペトリュスも高評価を得ていたが、それも造ったことはない。だから、そんな噂は馬鹿げている」


 ロランは完熟した良質なブドウを適切に醸造すれば美味しいワインができるという信念の持ち主だった。低収量、熟した果実味、長時間のマセラシオン、上質の新樽による熟成を特徴としている。柔らかく、芳醇で、ふくよかな味わいを持ち、アルコール度が高かった。


 飲む人に豊かさを感じさせ、ワインに洗練を与える独自のスタイルを確立した。その成功はボルドーの偉大なヴィンテージの観察から生まれた。日照量が多く、収穫量が少ない。今では当たり前だが、1980年代はグリーン・ハーベストや熟したブドウの収穫が革命的だった。


頭の中でブレンドのイメージが浮かぶ


 1947年のグランクリュを何度も飲み比べたという逸話が残っている。「毎回、シュヴァル・ブランが一番で、次にムートン、そしてペトリュスだった」と語ったという。


 ロランの秘密は精緻なブレンド技術にもあった。第六感のようなブレンド能力について、「どうやってやっているのか説明できない。本能なんです。頭の中でブレンドのイメージが浮かぶ」と語っている。「白ワインはより技術的で、温度管理がより重要で、正確さが求められる。赤ワインは直感的で、私はそれが好きだ」とも。


 2004年のカンヌ国際映画祭で上映されたジョナサン・ノシター監督のドキュメンタリー映画『モンドヴィーノ』で、ロランはワインの標準化とグローバル化の流れを造った"悪人”として、批判的に描かれた。


 その切り口には賛否両論があったが、彼が魅力的な人柄であったことだけは間違いない。取材の合間に交わすジョークで緊張をほぐしてくれる楽しい人物だった。


 先日来日したル・パンのオーナー・ファミリーのフィオナ・モリソンMWもロランを愛していたプロの1人だ。


アペリティフにル・パンから始める


 「アペリティフにまずル・パンから始めようか。ミシェルはそんなジョークで話を始めたのよ(笑)」


 愛すべきロランがワインの世界を永遠に変えたことは誰もが認めるところだろう。 

ミシェル・ロランとダニー夫人と娘たち 

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