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ボルドー2025プリムールでは赤ワインばかりに目がいってしまう。世界的な赤ワインがそろっているのだから当たり前だが、白ワインも見逃せなくなっている。メドック・ブランが誕生し、トップシャトーが白ワインを始める動きも目立った。赤ワインの消費が減少する中で、消費者の嗜好の変化を映している。
1960年代までボルドーの畑は白ブドウが支配的だったが、現在のセミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、数種類の白ブドウ品種の栽培面積はわずか7000ha強に落ち込んでいる。一方で、過去10年間でフランスでの赤ワインの消費量は3分の1近く減少し、ボルドーの赤ワインも苦しんでいる。これに対して、総生産量のわずか8%にすぎない辛口白ワインは好調だ。
驚かされたのは、クラシックな赤ワインのトップを走るレオヴィル・ラス・カーズだった。試飲の最後に「ラス・カーズ・ブラン ヴァン・ド・フランス 2025」が登場した。セミヨン50%、マルサンヌ、ルーサンヌ各25%。アンフォラと古樽で熟成したワインは、生き生きしていてエキゾチック、余韻に海の香りを帯びていた。当主のジャン・ユベール・ドゥロンは白ワインをよく飲んでいるという。
メドック北部を代表するコス・デストゥルネルの白ワイン
コス・デストゥルネルが2005年からジロンド河口の石灰岩粘土土壌で造る「コス・デストゥルネル・ブラン」とセカンドの「パゴ・デ・コス」はメドック北部を代表する白ワインである。2025年の白ワインの中で、緊張感とチョーキーなエレガンスが際立っている。
コスからわずか10分南に下るポイヤックの街にあるシャトー・デュアル・ミロンは2020年から「ル・ブラン・ド・デュアール・ミロン 2025」を造っている。今年で5年目。石灰質土壌のメルローに接ぎ木したセミヨンとソーヴィニヨン・ブランから調和のとれた白ワインを造っている。
同じポイヤックのシャトー・ピション・バロンは2023年から辛口のメドック・ブラン「レ・グリフォン・ド・ピション・バロン グランヴァン ブラン セック 2023」を2024年からリリースしている。ソーテルヌのスデュイローの辛口も充実させている。
マルゴーからは、シャトー・ディッサンが2024年からローヌ・ブレンドの「ジャルダン・ディッサン」を造り、ラスコンブのアクセル・ハインツも白ワイン造りを検討していることを明かした。
メドックではソーヴィニヨン・ブラン100%の「パヴィヨン・ブラン・デュ・マルゴー」のライバルが次々と現れている。2025年はペサック・レオニャンの白ワインも優れていた。
右岸ではシャトー・ヴァランドローもかねてから、ヴァランドローやヴィルジニー・ヴァランドローの白に力を入れている。ギノードー家が造る「ル・グラン・ヴィラージュ ブラン ヴァン・ド・フランス」と「レ・シャン・リーブル ヴァン・ド・フランス」は石灰質土壌の可能性を感じさせるヴァリューだ。
「コスデストゥルネル ブラン 2025」(Cos d'Estournel Blanc 2025)はソーヴィニヨン・ブラン56%、セミヨン44%。芳醇でキレがある。白い花、洋ナシ、リンゴのコンフィ、カモミール、濃厚な果実味、繊細な酸が引き締めている。石灰岩質のセミヨンが緊張感と優雅なバランスをもたらしている。8月末の雨が涼しさをもたらした。pHは3.68。アルコール度は13.25%。95点。
「パゴド・ド・コス ブラン 2025」(Pagodes de Cos Blanc 2025)はメドック北部の石灰質粘土土壌で接ぎ木したセミヨン67%、ソーヴィニヨン・ブラン33%。フローラルでクリーミィ、キリッとした酸があり、純粋な果実味。ライム、ピーチ、ジャスミン、ヨード、セミヨン比率が高く、厚みとなめらかなテクスチャーをもたらしている。92点。
辛口白を強化するシャトー・ピション・バロン
シャトー・ピション・バロンは辛口の白「レ・グリフォン・ド・ピション・バロン 2025」をメドック・ブランにして試飲に供した。メドック・ブランは2025年に瓶詰めされたワインからAOCが適用されている。「ボルドー・ブランで出さなかったのはメドックを主張するため」と、技術責任者のピエール・モンテグ(Pierre Montegut)。
有名なパヴィヨン・ブラン・デュ・シャトー・マルゴー、ムートン・ロートシルトのエール・ダルジャン、コス・デストゥルネル・ブランはボルドー・ブランとして商品化されている。ブランドが定着しているからAOCを変更する必要がない。
「シャトー・ピション・バロン レ・グリフォン・ド・ピション・バロン メドック・ブラン 2023」(Chateau Pichon Baron Les Griffons de Pichon Baron Medoc Blanc 2023)はセミヨン100%。白い花、洋ナシ、ミラヴェルプラム、クルミ、明るい果実味、丸みがあり、洗練されている。ソーヴィニヨン・ブラン的なフレッシュ感もありバランスがとれている。9月3日にAOCポイヤックの石灰岩土壌から収穫した。新樽、1年樽、ワイングローブで9か月間熟成。アルコール度は13.3%。90点。
ソーテルヌのシャトー・スデュイローも辛口白に力を入れている。ピエール・モンテグはスデュイローの技術責任者だった。ソーヴィニヨン・ブランの収穫が少なかったためセミヨン比率が高い。
「スデュイロー リオン・ド・スデュイロー ブラン・セック 2025」(Suduiraut Lions de Suduiraut Blanc Sec 2025)はセミヨン69%、ソーヴィニヨン・ブラン24%、ソーヴィニヨン・グリ7%。ライム、洋ナシ、タンジェリン、クリーミーで重層的。軽やかな酸が調和して、セミヨン比率の高さが深みをもたらしている。90点。
「シャトー・スデュイロー グラン・ヴァン・ブラン・セック ヴェイユ・ヴィーニュ 2025」(Chateau Suduiraut Grand Vin Blanc Sec Vieilles Vignes 2025)はセミヨン66%、ソーヴィニヨン・ブラン34%。洋ナシ、ライムの皮、ネクタリン、ほのかな甘みとほろ苦みがありヨードのタッチ。厚みと構造があり、塩気を帯びた濃厚な余韻。樹齢は45年を超す。93点。
「シャトー・スデュイロー ピュール・セミヨン グラン・ヴァン・ブラン・セック 2025」(Chateau Suduiraut Pur Semillon Grand Vin Blanc Sec 2025)は平均樹齢55年の5区画のセミヨンをブレンド。グレープ・フルーツ、アプリコット、柑橘オイル、ワクシーなテクスチャー、ふくよかな果実味と生き生きした酸味。深みがあり長い余韻。魅力的。94点。
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