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ブドウ樹の苦しみ受け止める、詩人クリスチャン・ムエックスのワイン(ボルドー2025プリムール)

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 クリスチャン・ムエックスは詩人である。2025年を2022年と比較する話をしていると、苦しげな表情になりつぶやいた。2022年も干ばつと高温に悩まされたが、2025年の方が水不足の度合いが強かったのだ。


 「苦しみました、2025年は。ブドウ樹が痛みを覚えていました。2022年の方が心理的に幸福でした」


 こちらの心までずきずきと痛んだ。

 
 クリスチャンは優れたヴィニュロンだが、ブドウ樹の苦しみを心と体で受け止める男なのだ。


 それでも、ポムロールの粘土土壌は保水性の高さで水分ストレスに耐えた。雨量の強かったサンテミリオンの石灰岩プラトーは、フレッシュ感と緊張感を保った。


粘土土壌に救われたポムロール


 右岸は左岸より乾燥していた。芽吹きは1週間早く、開花は10日以上早く、ヴェレゾン(着色期)は2週間早かった。生育状況は2022年と同じだが、降水量は少なかった。5月末から8月20日まで20ミリしか降らなかった。8月15日のリブルヌは43度の高温で苦しんだ。8月末に27ミリの雨が降り救われた。


 ポムロールの平均収量は25.9hl/ha。10年平均より10.7%低かった。サンテミリオンの平均収量は34.7hl/ha。10年平均より3.2%減にとどまった。小粒のブドウの実の重さは平年より軽い0.8gだった。


 クリスチャンは2025年のポムロールが1975年のペトリュスを思い出させると語った。20年以上前に飲んだが、怪物的なワインだった。それよりもはるかにフレッシュ感のあるエレガントなワインが多かった。


 粘土質の強さが重要で、砂利質のラ・グラーヴは生産されなかった。


 「シャトー・ラグランジュ 2025」(Chateau Lagrange 2025)はダークチェリー、リコリス、芳醇で洗練されたタンニン、まろやかで甘いスパイス。ジューシーで気楽に楽しめる。ポムロールのプラトーの北端に位置する深い粘土土壌。1953年に購入した。90点。


 「シャトー・ラフルール・ガザン 2025」(Chateau Lafleur-Gazin 2025)はレッドチェリー、ワイルドベリー、クローブ、なめらかなタンニン、ふくよかで力強い。肉厚でしっかりした構造。熟成の可能性を期待させる。1976年からJPムエックスが管理し2021年に取得した。92点。


 「シャトー・ラトゥール・ア・ポムロール 2025」(Chateau Latour à Pomerol 2025)は熟したレッドチェリー、プラム、フローラルでなめらかなテクスチャー。ジューシーな果実味、タンニンが洗練されていてアプローチャブル。ペトリュスのオーナーだったマダム・ルーバが1917年に取得し、JPムエックスが1962年から管理し、2024年に取得した。93点。


 「シャトー・オザンナ 2025」(Chateau Hosanna 2025)はメルロー74%、カベルネ・フラン26%。ブラック・ラズベリー、ワイルドベリー、リコリス、砕いた石、豊かで力強い。しなやかなタンニン、デリケートな酸、程よい凝縮度で、濃厚すぎない。酸化鉄を含む砂利土壌「crasse de fer」がエレガンスをもたらしている。ラフルール、ヴィユー・シャトー・セルタン、ペトリュスに隣接する。95点。

 

 「シャトー・ラ・フルール・ペトリュス 2025」(Chateau La Fleur-Petrus 2025)はメルロー97%、プティ・ヴェルド3%。ラフルールとペトリュスにはさまれている。ブラックチェリー、ブラッドオレンジ、スミレ、しなやかなタンニン、生き生きした酸味、鉄の風味を帯びたミネラル感、力強さと優雅さの両方を持ち合わせ調和している。50%新樽で熟成。96点。


 「シャトー・トロタノワ 2025」(Chateau Trotanoy 2025)はメルロー96%、カベルネ・フラン4%。香りは力強く重厚、ブラックチェリー、カシス、黒鉛、濃厚な果実味、力強いがシルキーなタンニン、サテンのテクスチャー。深みがあり透明感に包まれる。アルコール度は14.5%。97点。


 「シャトー・ベレール・モナンジュ 2025」(Chateau Belair Monange 2025)はブラックチェリー、ブルーベリー、砕いた石、バラの花弁、チョーキーな性格を帯びたテクスチャー、セージ、エキゾチックなスパイス。舌触りはなめらかで洗練されている。骨格があり、彫りが深い。緊張感の続くフィニッシュ。97点。


ポムロールで灌漑をめぐる議論


 シャトー・ラフルールがヴァン・ド・フランスになったことで、ポムロールでも灌漑をめぐる議論が起きている。複数のシャトーで意見を聞いたが、灌漑の時期や監査のシステムで意見が異なる。決着には時間がかかるだろう。

今年からプリムール試飲はベレール・モナンジュで

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