世界の最新ワインニュースと試飲レポート

MENU

  1. トップ
  2. 記事一覧
  3. コート・ファロンはリューディ随一の完成度

コート・ファロンはリューディ随一の完成度

  • FREE
 ジャック・セロスは、最低でも3年は寝かせたい。

 いろいろ試した結論だ。デゴルジュマンから1年は話にならない。2年でもまとまりに欠ける。3年目からようやく、酸が丸くなり、口当たりが柔らかくなって、バランスがとれてくる。

 年の瀬。久しぶりにセロスを飲もうと、セラーを探したら、ラ・コート・ファロンがあった。たまにはリューディもいいだろう。というか、普通のNVは倉庫に預けてある。デゴルジュマンは10年1月。リューディの初リリースものだ。9年秋にドメーヌを訪れて、リリース前のボトルから試飲したのを思い出した。

 シードルかと思うほど濃い黄金色。リンゴのコンポートの香り、生き生きとしていて、クリーミィなテクスチャー。ヴォリューム感と、果実の太さ、果てしない長さ、エネルギーに圧倒される。アルコール度は12・5%とあるが、実際はそれ以上ありそうだ。ベースワインの40%は2003年。セロスといえども、いや、セロスだから、03年の猛暑がワインに反映されたということか。

 ラ・コート・ファロンは元々はコントラスト。1994年にさかのぼるリザーヴワインをブレンドしている。シュブスタンスには及ばないが、ミニソレラの思想で造っている。やはり完成度が高い。

 ほかのリューディとは段違いだ。リューディは今のところ矛盾をはらんでいる。セロスのシュブスタンスの思想は、ソレラによってヴィンテージを消し去った後に、アヴィーズのテロワールが表現できるというもの。リューディの狙いはもちろん、区画の表現だが、ソレラをするにはリザーヴワインが足りない。小さな区画ばかりだから仕方ない。メニルのレ・キャレルもラ・コート・ファロンも03がベースだ。ほかのリューディは04と05がベースとなる。セロスの理想が完成するにはもう少し、時間がかかるだろう。

 なじみの寿司屋さんに持ち込んだ。大将はいつも全力投球でいいネタを仕入れてくれる。ありがたい。カワハギに続いて、14キロ物の氷見のブリのオオトロにとろけ、串木野のイカで口をリセットして、築地に3枚しかなかったウニを塩で。大間のオオトロの無限とも言える余韻は今も消えていない。ウニとはクリーミィさがマッチし、オオトロは脂と相乗した。コート・ファロンは最もフード・フレンドリーなセロスのシャンパーニュだ。

(2013年12月 東京・浅草の「太助寿司」で)
ジャック・セロス ラ・コート・ファロン
購入:パリのショップ 100ユーロ
死ぬまでにもう一度は飲みたい度:93点

購読申込のご案内はこちら

会員登録(有料)されると会員様だけの記事が購読ができます。
世界の旬なワイン情報が集まっているので情報収集の時間も短縮できます!

Enjoy Wine Report!! 詳しくはこちら

TOP