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ボルドー2018プリムール、2016に匹敵するヴィンテージか(ボルドー2018プリムール)

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 優良な作柄の期待が高まっているボルドー2018ヴィンテージのプリムール試飲会が、1日から正式に始まる。ミルデューで収量を減らしたシャトーもあるが、品質は2016に匹敵するという声も高い。


 先物取引であるプリムールの試飲会は毎年4月に、世界のバイヤー、ジャーナリスト向けに開かれる。中国、英国、米国など各国のワイン商、輸入業者はもちろん、フランス国内のレストラン、ワイン商が訪れて、前年に収穫されたワインの樽からのサンプルを試飲する。ジャーナリストは試飲して、デジタルメディアや紙媒体で点数を発表する。期間中は数千人を超すプロが産地を訪問し、主要なシャトーはにぎわう。


 プリムールの試飲は、セミリタイアした米国の評論家ロバート・パーカーが熟成中のワインの評価を発表するようになって広まった。現在はボルドーの134トップシャトーからなるユニオン・グラン・クリュ・ド・ボルドー(UGCB)が、4日前後の日程でトレードやジャーナリスト向けの公式な試飲会を主催している。2018ヴィンテージのプリムールとなる今年は、1日から4日まで、アペラシオンごとに試飲会が開かれる。


 ただ、多くのトップシャトーは公式な試飲会にはサンプルを出展しない。1級の5大シャトー、レオヴィル・ラス・カーズ、パルメ、コス・デストゥルネルなどのスーパーセカンド、サンテミリオンのプルミエ・グラン・クリュ・クラッセA、ポムロールのペトリュスやルパン、ソーテルヌのイケムなどは、生産者を訪問しないと試飲できない。トップシャトーは最高の環境でワインを供し、選別された訪問者に対して、技術責任者が詳細な説明をする。


 つまり、消費者の関心が高く、プリムール商戦の早い段階で売れるワインの情報は、個別のシャトー訪問をしないと得られない。近年は、ラフィット・ロートシルトやペトリュスのようなトップ生産者は、訪問者を限定する傾向にある。試飲は30-60分おきに10人程度のテイスターのグループを入れ替える仕組みで、事前にネゴシアンか広報担当者経由で約束を取り付ける必要がある。公式日程とは関係ない日時に訪問できるわけで、ジャーナリストは3月中の早い段階で、重要なシャトーを回る流れが強まっている。


 ロバート・パーカー・ワイン・アドヴォケイトのリサ・ペロッティ・ブラウン、ジェームス・サックリング、ジェフ・リーヴ、ワイン・スペクテーターらは3月中から既に、主要なシャトーを訪問し、SNSを通じてレポートを発信している。デジタルメディアで、評価を発表するようになって、速報が加速している。パーカーのワイン・アドヴォケイトのニュースレターの郵送を待っていた10年前とはスピード感が違う。そのため、ネゴシアン経由でのプリムールの売出しも早まり、5月末頃までに主要シャトーの発売は終わる。


 ボルドーでは、エレガントな2014、偉大な2015、2016、クラシックな2017と良作年が続いているが、2018年を凝縮した2016年と比較する声を、海外の有名メディアや生産者のSNSなどでよく目にする。8-10月の気温は2003年に次ぐ高さだった。ジャン・ピエール・ムエックスのクリスチャン・ムエックス社長が「50年間で最高のヴィンテージ」という右岸では、メルロの糖度が14.5%以上に達した生産者もあり、偉大な作柄となるのは間違いない。


 左岸は産地によってばらつきがあるが、5月から6月の温暖で雨の多い気候によってべと病が広がった。とりわけ、2018年にエコセールの認証を得たラトゥールのほか、ポンテ・カネ、パルメは大幅な収量の減少になったと伝えられている。サンテステフのラフォン・ロシェが昨年、オーガニックからの撤退を発表したのは記憶に新しい。モンローズなどオーガニックへの転換を進めるシャトーは増えていて、影響が懸念される。ただ、夏の暑さと収穫時の好天に恵まれ、健全で小粒なブドウを収穫でき、ワインの品質は全般的に高い。

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