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米国のレストランはワイン在庫販売で生き残り、日本でも救いの手になるか

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 外出禁止令が出されている米国の大都市では、貴重なワインの在庫を販売して少しでも売り上げをあげようという動きが出ている。


 食のサイト「EATER」によると、カリフォルニア・シリコンバレーの3つ星レストラン「マンレサ」(Manresa)はテイクアウトのみの営業に追い込まれて、愛好家には垂涎の高価なワインの販売を始めた。ワインリストは、DRC、シャーヴ、ペトリュス、シン・クア・ノンなどの希少なワインを市価より安い値段で掲載している。

 
 噂は裕福なコレクターの間にすぐに広まり、1週間で4万ドル以上の売り上げがあった。1人で2万ドルの貴重なワインを購入した上得意客もいたという。


 ニューオーリンズのカクテルバーが、Instagram経由でスピリッツを販売したり、ワシントンDCのレストランが米国内でも有数のウイスキー・コレクションを売り出すなど、各地で手持ちのワインやスピリッツを販売して、キャッシュフローを改善しようという動きが出ているという。


 人気の高いワインを集めたワインリスト構築には、時間とコストがかかる。いったん手放すと、再び手に入れるのは難しいが、家賃や従業員の給与を払うためには、背に腹は変えられない。


 この機に乗じて、ザッキーズやアッカー・メラルなどのオークションハウスは、レストランのハイエンドワインのコレクション買い付けに乗り出している。

 

 日本ではレストランが在庫のワインを消費者に売りさばこうとしても、酒類小売業免許を取得していなければ、これまで販売はできなかった。だが、国税庁は一時閉鎖や自粛で売り上げ減少に苦しむ外食産業を支援するために、一般の酒類小売業免許とは別に、特例措置として、6か月間の期限付酒類小売業免許を迅速に付与することを決めた。申請期限は6月まで。

 

 緊急事態宣言によって、ワイン類の売り上げに依存するレストランは苦境に陥っている。あるインポーターは「小規模なレストランは収入が激減し、家賃や従業員の給与を支払おうにもキャッシュが不足しているようだ。4月に入って中・高価格帯のワインの注文が止まった」と明かす。 

 

 今回の期限付酒類小売業免許は、手続きを簡素化しても、数日間はかかるし、初めてのレストランには運用面での課題もあるだろう。酒類小売業免許を取得しているレストランの中には、既に料理とワインのテイクアウトに動き出している例もある。モダンベトナム料理「An Di アンディ」は、テイクアウト料理とペアリングワインのボトルの販売を準備していると、Facebookに投稿している。

 

 国税庁の特別措置によって、テイクアウトの料理をワインや日本酒とともに販売でき、手っ取り早く維持費を捻出できる可能性が開けた。外食を抑制している消費者も歓迎するだろう。ただ、ワインが充実しているレストランであればあるほど、ソムリエや経営者が知恵と手間をかけて蓄積したコレクションを取り崩すのは、苦渋の決断となるだろう。

Manresa@Facebook

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