世界の最新ワインニュースと試飲レポート

MENU

  1. トップ
  2. 記事一覧
  3. ミクロネゴス最前線、マーク・ハイズマ2014のピュアさとミネラル

ミクロネゴス最前線、マーク・ハイズマ2014のピュアさとミネラル

  • FREE
 ブルゴーニュのミクロ・ネゴシアンに、オーストラリア出身のホープが何人か登場している。マーク・ハイズマはその筆頭だ。少量のロットを消費者に直接販売する。カリフォルニアのカルトワインのように、メーリングリストに頼っている。資金の少ないアウトサイダーが、閉鎖的なブルゴーニュでワインを造り始めるには一つの手法だろう。

 ブルゴーニュの地価は高騰を続けている。2011年以降は、生産量も減少している。ミクロ・ネゴスは厳しい状況の中で、優れた栽培農家とコネクションを造り、栽培にも関与して、少量のブドウを手に入れる。バンジャマン・ルルーやオリヴィエ・バーンスタインは、そうして成功を収めた。ハイズマはそこにDIY的なやり方で切りこんだ。入手困難だが、大橋健一MWが購入した2014年の白赤計6本を試飲する機会を得た。
 スターターは「マーク・ハイズマ ブルゴーニュ・アリゴテ 2014」。スイカズラ、ライム、ほのかにアプリコット、透明な酸とピュアな果実のバランスがとれている。クリーミィで、精妙さがあり、正確なフィニッシュ。ドメーヌ・ルロワを連想させる驚きの1本。
 「マーク・ハイズマ サントネイ・サン・ジャン 2014」はレモンオイル、リンゴの蜜、軽いオークタッチがきれいに統合され、バランスが優れている。まろやかさと長さがあり、非常に自然な味わい。キレが悪くなりがちなサントネイ村名とは思えないフィネス。
 「マーク・ハイズマ サン・ロマン・コンブ・バザン 2014」は、ドメーヌ・ド・シャソルネイも手掛ける南西向きの急斜面畑。洋ナシ、白桃、オレンジの花、濃密な果実がきれのいい酸とバランスをとっている。フリンティで、ミネラリーなフィニッシュ、塩っぽい味わいが唇に残る。

 自然派ワインの専門家である大橋MWとサム・ハロップMWは、白ワインにとりわけひかれたようだ。「シンパセティックワイン」とサムは賞賛。ブルゴーニュの屈指のテイスター、大越基裕氏も気に入っていた。

 赤は「マーク・ハイズマ ポマール プルミエクリュ・クロ・デ・ザルヴレ 2014」。低地にある南向き急斜面の畑。新鮮なレッドベリー、適度な厳格さがあり、真綿のように柔らかいテクスチャー。アーシーで、森の下草の香りも。ミネラル感に縁どられたきれいなフィニッシュ。
 「マーク・ハイズマ ジュブレ・シャンベルタン 2014」は、輝きのあるルビー、野イチゴ、オレンジの皮、鉄、しっかりした骨格ときめ細かなタンニン、リニアで正確、うまみのある味わい。全房発酵がスパイシーさと複雑なタッチを加えている。大半はラ・クロワ・デ・シャンと一部がラ・ジュスティス。D974東側の畑とは思えない洗練されたスタイル。
 「マーク・ハイズマ モレ・サ・ドニ プルミエクリュ・レ・シャフォ 2014」は強烈な果実、太いがしなやかなタンニン、焦点が合っている。ブラックベリー、オレンジの花、砂利をかむようなミネラリーなフィニッシュ。クロ・ド・ラ・ロッシュの斜面上部にある、ユベール・リニエで有名な畑の洗練された表現。

 ハイズマはヴィクトリア州のヤラ・イエリングでワインメーカーを務め、ベイリー・カロダス博士の薫陶を受けた。英国のジャンシス・ロビンソンMW、ティム・アトキンMWらが早くから「注目すべき造り手」と評価し、ワイン・アドヴォケイトのニール・マーティンの得点も高い。穏やかな樽使いと自然派のアプローチは、時代の潮流と共振している。メイン市場の英国で探してでも飲む価値がある。

 大阪の「小松屋」の藤田牧雄社長のはからいで、とらふぐと和牛を食べながらの豪華な試飲となった。

2016年9月2日 大阪とらふぐの会で

マーク・ハイズマ ブルゴーニュ・アリゴテ 2014
90点
マーク・ハイズマ サントネイ・サン・ジャン 2014
92点
マーク・ハイズマ サン・ロマン・コンブ・バザン 2014
93点
マーク・ハイズマ ポマール プルミエクリュ・クロ・デ・ザルヴレ 2014
92点
マーク・ハイズマ ジュブレ・シャンベルタン 2014
91点
マーク・ハイズマ モレ・サ・ドニ プルミエクリュ・レ・シャフォ 2014
94点


購読申込のご案内はこちら

会員登録(有料)されると会員様だけの記事が購読ができます。
世界の旬なワイン情報が集まっているので情報収集の時間も短縮できます!

Enjoy Wine Report!! 詳しくはこちら

TOP