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リセ村のピノ・ノワールが生きる、パイパー・エドシックのキュヴェ・レア2007年デビュー

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 パイパー・エドシックがプレスティージュキュヴェ「レア」の生産から約40年目にして「レア ロゼ」を追加し、12日、パリでお披露目した。高品質志向に注力するメゾンの生まれ変わりを象徴するキュヴェを、12月の発売に先駆けて試飲した。


 フローレンス・ルイ・エドシックは1785年に、エドシック&COを創業し、後にパイパー・エドシック、シャルル・エドシック、エドシック・モノポールの3つに分かれた。パイパーとシャルルは、レミー・コワントローの傘下にあったが、2011年にラグジュアリーブランド企業の持ち株会社EPIが買収し、性格を変えた。姉妹メゾンのシャルルは美食向けのシャンパーニュとして定評を保ち続け、パイパーはスーパーマーケットでも売られるメゾンのイメージから脱皮した。評論家トム・スティーブンソンは2013年、過小評価されているメゾンに両メゾンを選んだ。
 瓶内熟成期間を長くとり、ドザージュ(糖分添加)を減らした「エッセンシャル・キュヴェ ブリュット」で、生まれ変わりをアピールした。レアは1976年ヴィンテージでデビューしたプレスティージュキュヴェ。それから約40年ぶりに「レア ロゼ 2007」を加えた。主要市場の米国、英国、ベルギー、ドイツなど8か国のみで発売する。2016年の発売は世界で1500本。


 2015年に代表に就任したブノワ・コラール代表は、醸造責任者のレジス・カミュに「なぜ今になってレア・ロゼなのか?」とたずねた。「待ったのではなく、待たなければならなかった」との答えが返ってきた。コート・デ・バールのリセ村の赤ワインを試飲して、ロゼが出来るとひらめいたという。100以上のキュヴェから、ベースワインを模索し、スタイルを定義した。リセは、ピノ・ノワールのスティルワイン、ロゼ・デ・リセで知られる村。ブレンド比率はシャルドネ56%とピノ・ノワール44%。ピノの大半はリセ産で、シャルドネはヴィレ・マルムリー、アヴィーズ、ヴェルテュ村が主体。


 「パイパー・エドシック シャンパーニュ レア ロゼ 2007」は赤みの強いピンク、小さな野イチゴ、バラの花びら、ベルガモット、なめらかなフェノールが心地よい酸とシームレスに統合され、ハーモニーがある。肉づきがよい。よく熟した果実のまろやかなテクスチャーに包まれるが、重さはなく、キレのいいフィニッシュ。温暖なシャンパーニュ地方南部リセのまるい果実と、モンターニュ・ド・ランスとコート・デ・ブランのシャルドネのエレガンスをきれいに統合。2007年の冷涼さが緊張感をもたらしている。ピノ・ノワール使いのカミュの長年の経験が生きている。瓶下部を包むローズゴールド色の真ちゅう製ティアラは、職人が147か所を糊で瓶に止める手造り品。

 「パイパー・エドシック シャンパーニュ レア 2002」は、1976年から8番目のヴィンテージ。多くのメゾンのプレスティージュキュヴェが2005年以降のヴィンテージとなる中で余裕がある。ライム、白桃、レモンオイル、フレッシュで、正確、チョーキーなテクスチャー。温度があがるとブリオッシュ、アニスの香り。舌の上に塩みが残るミネラリーなフィニッシュ。
 「パイパー・エドシック シャンパーニュ エッセンシャル・キュヴェ ブリュット」は柑橘、リンゴの赤い皮、ナッツ、軽やかな酒質で、生き生きした果実が口中で踊る。控えめなドザージュでリニア感がある。焦点があっている。

 生産量は400万本以上。姉妹メゾンのシャルル・エドシックが不変のスタイルなのに対して、パイパー・エドシックはこの5年間で、ディテールを煮詰めて進化した。コラールは「EPIのクリストファー・デスクールCEOは、レジス・カミュが欲しくてメゾンを買収した。豊富なリザーヴワインが我々の財産。個人企業だから、四半期ごとの実績を気にせずに投資できる。いいワインには時間と情熱が必要だ」と。モエ・ヘネシー・ディアジオで成功した人物の言葉だけに説得力がある。

2016年9月15日 東京・茅場町で

パイパー・エドシック シャンパーニュ エッセンシャル・キュヴェ ブリュット
89点
希望小売価格:6300円
パイパー・エドシック シャンパーニュ レア 2002
92点
希望小売価格:2万2000円
パイパー・エドシック シャンパーニュ レア ロゼ 2007
94点
希望小売価格:6万円
輸入元:日本リカー

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