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クメウ・リヴァーVSルフレーヴ、シャルドネ対決の結果はやはり

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 クメウ・リヴァーがブルゴーニュ勢を負かしたのは、2015年の大きなニュースだったが、似たようなシャルドネのブラインド試飲を一度してみたかった。アカデミー・デュ・ヴァンの授業でそれを試した。

 予算の関係もあり、同じように再現するのは不可能。クメウはマテズ・ヴィンヤード2012を持ってきたが、ブルゴーニュはルフレーヴのピュリニー・モンラッシェ2013、ミシェル・ニーヨンのシャサーニュ・モンラッシェ2012、ブシャール・ペール・エ・フィスのボーヌ・デュ・シャトー・プルミエクリュ・ブラン2013。ここに、NZのノイドルフ・ムーテリー2009、南アフリカのクリスタルム・アグネス2014を混ぜ込んだ。
 新旧世界を正確に判別できた生徒がわずかにいた。手掛かりはアルコール度とテクスチュア。NZも南アも冷涼な土地から産するが、アルコール度が0.5%ほど高い。パレットもややゆるい。ブルゴーニュばかり飲んでいる人間の方が、その違いに気づきやすかったようだ。

 ブシャールはプルミエクリュの畑をブレンドしたおおらかなワインなのでやや分が悪い。近年のニーヨンはパッとせず、状態も今ひとつだった。白ワインの女王ルフレーヴはどうだったか。2013は亡きアンヌ・クロード・ルフレーヴが熟成のほぼ最後まで面倒を見た最後のヴィンテージだろう。ルフレーヴは大半の生徒が気づき、最も好きと答える人間が多かった。
 レモン、グレープフルーツの香り、タイトで、2013らしい酸のキレ、果実の透明感とピュアさはレーザー光線のようだ。チョーキーなミネラル感を伴う余韻が細く、長く続き、ピュリニー・モンラッシェ以外の何物でもなかった。ルフレーヴの村名畑はプルミエクリュのクラヴォワヨンのすぐ下に大半があり、条件に恵まれている。とはいえ、村名は深みと複雑さで限界がある。

 好き嫌いを抜きに、客観的に評価すると、マテズ・ヴィンヤードがやはりトップにきた。ライムストーン、レモンドロップ、ショウガの香り、果実の強烈さとリニアな緊張感が調和を保っている。クリーミィなテクスチュアから、リッチな中間に流れ、フィニッシュはシャブリのようにミネラリーだ。あるべきものが、あるべきところに収まっている。ワインメーカーのマイク・ブラコヴィッチはオリの使い方がうまい。シュールリーで、マイクロ・オキシジネーションを併用して、中間の豊かさを出すとともに、マロのバタリーな香りを抑えている。還元と酸化のバランスがジャストなのだ。
 ノイドルフは熟成している強みもあるが、白桃、マンダリンオレンジの香りがあり、凝縮されていた。開放的な性格だが、焦点は絞れていて、鉛筆の先端のように引き締まってフィニッシュ。ブラコヴィッチの後にNZでマスター・オブ・ワインになったボブ・キャンベルMWのお気に入り生産者。南島ネルソンの粘土土壌が広がるムーテリーの可能性を感じさせた。
 クリスタルムのアグネスは、異なる畑のブレンド。フリンティで、レモン、カモミーユ、カキの殻、フレッシュで、余韻はおおらか。ピーター・アラン・フィンレイソンが3000円台でものにしたヴァリューだ。
 テロワールを写真のように表現したルフレーヴは素晴らしいが、1万円を超す価格は現実的ではない。ルフレーヴのプルミエクリュだと2万円近くなる。それでも、トップが奪えたかどうか。新世界のトップ生産者の品質向上に改めて印象づけられた。

2016年2月6日 東京・青山のアカデミー・デュ・ヴァンで
クリスタルム ジ・アグネス シャルドネ 2014
89点
購入価格:3610円 
輸入元:ラフィネ
ドメーヌ・ルフレーヴ ピュリニー・モンラッシェ 2013
89点
購入価格:1万4000円
輸入元:ラックコーポレーション
ノイドルフ ムーテリー シャルドネ 2009
92点
購入価格:6500円 
輸入元:ヴィレッジ・セラー
クメウ・リヴァー マテズ・ヴィンヤード シャルドネ 2012
94点
購入価格:6280円 
輸入元:ジェロボーム

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