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ホナタはブルゴーニュ品種も凄い、マット・ディーズの才能

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 生産者を訪れないとわからないことは多い。サンタ・バーバラのホナタは、ボルドー品種の専門家と思っていたら、ブルゴーニュ品種もすごかった。


 日本には輸入されないザ・ヒルト(the hilt)。シャルドネとピノ・ノワールがあり、衝撃を受けたのはシャルドネの2011。オールド・ガード(Old Guard)とヴァンガード(Vanguard)というキュヴェがある。サンタ・マリア・ヴァレーとサンタ・リタ・ヒルズのブドウを購入しているが、造りが全く違う。
 前者はニュートラルオークでマロはなし。後者はフレンチ新樽でマロは70%。全く違う仕上がりになっている。オールド・ガードで連想したのはシャヴリのドーヴィサ。鋼のように硬く、濡れた砂利、白桃の香り。中心に果実が詰まっているが、フィニッシュはレーザービームのように切れがよく、長い。



 対するヴァンガードは、コルトン・シャルルマーニュ。ヘーゼルナッツの香りがあり、華やかだが、焦点が合っている。ピュアな果実味と、ミネラル感が前面に出るスタイルは変わらない。
 醸造責任者のマット・ディーズに会うのは、昨年のナパヴァレーの試飲会に続いて2回目だが、素晴らしい才能と柔軟性を感じさせた。ホナタはスクリーミング・イーグルのスタンリー・クロンケが所有するようになって、スタイルを変えている。前任の醸造責任者アンディ・エリクソンからマットに変わって、より柔らかく、レーザービームのように焦点があっている。
 ヒルトを飲んで、カリフォルニアと思うブルゴーニュ愛好家は皆無に近いだろう。遊び心はあるが、完成度は極めて高い。アルコール度は13・5%。地質分析の仕事をしていたが、醸造に転じて、ニュージーランドのドッグポイントで修業したというから納得だ。スクリーミング・イーグルの支配人も務めるアルマン・ド・メグレが採用するワインメーカーに狂いはない。
 これらのワインはダイレクト販売で、市場では見つけにくいが、35ドルという価格を考えれば、何本でも買いたい。もっとも各200ケースしか生産していないが。


 ピノ・ノワールのヒルトも素晴らしいが、さらに面白かったのはスパークリングワイン。シャルドネとピノ・ノワールを半々。私がシャンパーニュの話をしていたら、2週間前にデゴルジュマンしたばかりの王冠で詰めたボトルを開けてくれた。メディアの人間で飲むのは初めてだろう。
 マットがその前に、自慢げに見せてくれたボトルはセドリック・ブシャールのボロレ。その瞬間に気が合うと思った。好みも同じだ。予想通り、ピュアで、切れが鋭く、それでいてテクスチャーはクリーミィ。ヒルトと同じ1971年に植えたシャルドネとピノ・ノワールの2012年を半々のブレンド。ノンドゼ。
 これも入手不能だろうが、飲む価値がある。
 収穫で丘を駆けずり回ったマットは、汗まみれになりながら、サービス精神旺盛。カリフォルニアの若い世代は面白い。


(2014年9月10日 カリフォルニア・ソルヴァングで)
ホナタ ザ・ヒルト
シャルドネ オールド・ガード 2011
シャルドネ ヴァンガード 2011
いずれも月に一度は飲みたい度:94点 
35ドル

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