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マルク・コラン家の絆、ピエールイヴ・ジョゼフ・ダミアンのワインの違いを味わう

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 シャサーニュ・モンラッシェの9ドメーヌの造り手たちが大挙して来日した。シャサーニュ・モンラッシェはアミオ家とモレ家とコラン家に象徴されるように、家族ドメーヌを起点に、縁戚関係でつながるドメーヌが発展してきた。長男が継承したり、次男が独立したり、娘が嫁いだりするたびに畑が細分化されて、ドメーヌ数が増えてきた。土壌や地勢の違いとあいまって、世代が交代すれば、ワインのスタイルも変わる。その多様性をフォローするのもこのアペラシオンの面白さだ。


 家族関係が根底にあるからドメーヌ間の友好関係は深い。コート・ド・ニュイでは畑の相続をめぐって仲違いする例もあるが、シャサーニュでそうした噂を聞かない。今回は子どもを含む15人が来日したが、フランス人には珍しく集団が規律正しく動いていた。普段からワイン造りの情報交換をしているおかげだろう。


 縁戚関係が広がっているから、栽培や醸造機器の貸し借りも普通にある。オーガニックやビオディナミの進め方も相談する。2024年のように雨が降り続いて、べと病やうどんこ病が多発したヴィンテージは、造り手同士の協力関係が仕事を助ける。


 私が定期的に訪問しているコラン家はその代表例だ。サン・トーバンに基盤を置くマルク・コランには4人の子どもがいた。別れた3ドメーヌの絆が深く、それぞれ高い評価を築いている。いずれもオーガニック栽培を実践し、介入を避ける醸造を行って、ピュアなフレッシュ感を表現している。


 普通は長男が親から引き継ぐのだが、ピエール・イヴ・コランは「自分がいると弟や妹がのびのびできない」と気を配り、ジャン・マルク・モレの娘カロリーヌと結婚したのを機に独立。2005年に2人の名前を入れたドメーヌ・ピエール・イヴ・コラン・モレ(PYCM)を創設した。息子のマティスとクレマンも参画している。13haの畑を所有・管理するスーパースターに成長した。


 次男のジョゼフは2017年に独立した。サン・トーバンの奥にドメーヌを構えて、ビオディナミを実践する。SO2は絶対に必要な時以外は無添加、フードルや500L樽で熟成する。3ドメーヌの中で最も先鋭的と言っていい。日本市場が見落としている2つ星の造り手だ。6.8haから4万5000本を生産する。


 三男のダミアンと長女カロリーヌは父を継承して、サン・トーバンでマルク・コラン・エ・セ・フィスを運営している。果汁へのSO2添加を止めて、12haから12万本を生産する。3軒の中では最もクラシック。ここも2つ星だ。


熟成力示したPYCMのレ・シュヌヴォット2018


 PYCMはドメーヌでめったに飲めない蔵出しの2018年を試飲する機会に恵まれた。350Lの樽で熟成されている。


 「ピエール・イヴ・コラン・モレ シャサーニュ・モンラッシェ 2018」(Pierre-Yves Colin-Morey Chassagne-Montrachet 2018)は生き生きしていて鮮やかな酸、熟した果実味、グラスからレモンオイル、洋ナシ、タンジェリン、ローストしたヘーゼルナッツのアロマが広がる。まろやかなテクスチャー、バランスがとれていてしっかりした構造。ほのかにチョーキーな余韻。91点。


 「ピエール・イヴ・コラン・モレ シャサーニュ・モンラッシェ・プルミエクリュ レ・シュヌヴォット 2018」(Pierre-Yves Colin-Morey Chassagne-Montrachet 1er Cru Les Chenevottes 2018)はD906に近い下部の区画だが表土は薄い。レモンコンフィ、白い果実、オレンジオイル、ミント、冷涼感があり、キレのある酸。深みがあり、ほのかな塩気、レーザーシャープなフィニッシュ。若々しくフレッシュ。94点。


 所有するシュヴァリエ・モンラッシェ2017の飲み頃を尋ねた。


 「最低でも5年だね。もっと待った方がいいよ」


 2018のフレッシュ感からすると、10年くらいは待ってもいいだろう。ピュリニーに負けず劣らず、彼のシャルドネは長期熟成力を備えている。


 ピエール・イヴはソノマのデヴィッド・レイミーの下で研修して醸造を学んだ。繊細なミネラル感とまろやかな果実味のバランスのとり方の焦点が合っている。


フレッシュ感追求する次男のジョゼフ


 対する次男のジョゼフはオーガニックで低収量。妥協せずフレッシュ感を追求している。キレのある酸と果実の純粋さのエッジがたっていて背筋が伸びる。

 
 「ドメーヌ・ジョゼフ・コラン シャサーニュ・モンラッシェ ヘレディタス 2023」(Domaine Joseph Colin Chassagne-Montrachet Hereditas 2023)はクリオ・バタール・モンラッシェを囲む3区画の70年を超す古樹から。フローラルで果樹園の果実、桃、繊細で清涼感のある酸味、肉厚な果実味。2023年の豊かさをフレッシュ感が包みこんで切れ味がある。1万6500円。91点。


 「ドメーヌ・ジョゼフ・コラン サントーバン・プルミエクリュ ラ・シャトニエール 2023」(Domaine Joseph Colin Saint-Aubin 1er Cru La Chateniere 2023)はアン・レミリィと並ぶプルミエクリュ。ドメーヌ向かいの南向き急斜面。フリンティで、洋ナシ、オレンジの皮、フェンネル、濡れた石、サテンのテクスチャー、熟した果実味と鮮やかな酸のバランスがとれている。塩気を帯びた余韻の緊張感が持続する。1万5000円。92点。


 「ドメーヌ・ジョゼフ・コラン シャサーニュ・モンラッシェ・プルミエクリュ アン・カイユレ 2023」(Domaine Joseph Colin Chassagne-Montrachet 1er Cru En Caillerets 2023)はカイユレ斜面頂上の岩の多い区画。樹齢は65年以上。黄色の花、ライム、洋ナシ、石のような硬さとグリップのあるテクスチャー。シャープな酸、程よい重み、鮮やかな輪郭がある。純粋で透明感に包まれている。2万5000円。94点。


万人受けするダミアンのマルク・コラン・エ・セ・フィス


 マルク・コランはバランスがとれていて万人受けするスタイル。三男のダミアンは、1979年に家業の畑を引き継いだ父マルクの純粋さと繊細さを継承してきた。新樽もSO2も減らして、熟した果実にフレッシュ感を加えている。228Lのピエスで熟成する。


 「ドメーヌ・マルク・コラン・エ・セ・フィス シャサーニュ・モンラッシェ キュヴェ・マルゴ 2022」(Domaine Marc COLIN et Ses Fils Chassagne-Montrachet Cuvee Margot 2022)は4区画から収穫したブドウを共発酵した。ライム、オレンジの皮、カモミーユ、直線的でスパイシー、なめらかなテクスチャー、潮の飛沫。熟した果実がさわやかな酸と調和している。長い余韻。マルゴは祖母の愛称。90点。


 「ドメーヌ・マルク・コラン・エ・セ・フィス サントーバン・プルミエクリュ アン・レミリィ 2022」(Domaine Marc COLIN et Ses Fils Saint-Aubin 1er Cru En Remilly 2022)はモンラッシェから地続きのサン・トーバン最良のプルミエクリュ。石灰岩の台地と粘土質の斜面を含む1.32ha。白い花、柑橘、熟したリンゴ、砕いた岩、サテンのテクスチャー。サン・トーバンらしい硬質のミネラル感と肉厚な果実味のバランスがよく、はつらつとした酸味がボディを引き締めている。93点。


 「ドメーヌ・マルク・コラン・エ・セ・フィス シャサーニュ・モンラッシェ・プルミエクリュ アン・カイユレ 2022」(Domaine Marc COLIN et Ses Fils Chassagne-Montrachet 1er Cru En Caillerets 2022)は石灰岩の多い土壌を映すミネラル感に富んでいる。表現力が豊かで華やか、引き締まっていて活力があふれている。凝縮感があり、塩気を帯びた余韻。93点。


 ピエール・イヴ・コランは「4人の兄弟は父と一緒に働いて学んできた。独立しても決別するわけではない。親たちが一生懸命働いてきた畑をどう引き継ぐのか。我々も考える立場になってきた。感受性を持って最高のワインを造り続ける」と語った。


 父マルクはモンラッシェ南部の頂上に0.1068haの畑を所有していた。2022年に兄弟で等分に畝単位で分けた。各ドメーヌが120Lのフェイエット(feuillette)1樽しかできない至高のモンラッシェ。兄弟の絆の深さを表している。


 輸入元はラック・コーポレーション。

左から、ダミアン、ジョゼフ、カロリーヌ、ピエール・イヴのコラン家
350Lの樽が並ぶPYCMのカーヴ
フレッシュ感追求するジョゼフ・コラン
兄弟が共に働いていたマルク・コラン
来日したシャサーニュ・モンラッシェの造り手たち。左後ろから時計回り。ジョゼフ・コラン、ピエール・イヴ・コラン、シモン・コラン、フィリップ・コラン、ブリュノ・コラン、ダミアン・コラン、ヴァンサン・モレ、ファブリス・アミオ、ガブリエル・コラン、カロリーヌ・モレ、マキシム・モレ
アミオ家、モレ家、コラン家の家系図

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