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未来的な醸造所でワインはエレガント、右岸の先端を疾走するシャトー・アンジェリュス(ボルドー2025プリムール)

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 毎年のようにニュースを提供するシャトー・アンジェリュス。今年のニュースは5年以上かけて刷新してきた醸造所の完成だ。披露するセレモニーと都合があわなかったものの、Facebookで画像を見ると、逆さトロンコニック(逆円錐型)ステンレス発酵槽が吊り下げられている。SF映画を連想させる未来的な造形に驚かされた。


 逆さトロンコニック発酵槽は2019年に完成したカリヨン・ダンジェリュスのセラーで導入されている。デレスタージュの際に、果帽がタンクの狭い底に押し込まれ、ブドウの重みで自然な圧搾が行われ、多くのフリーランワインが放出される。トロンコニック発酵槽は右岸に広がり、左岸やカリフォルニアにも増えている。


 エミール・ペイノーに師事したユベール・ド・ブアールは進取の気性に富んでいた。開放型発酵槽と子樽のマロラクティック発酵をいち早く取り入れた。収量の少ない台木に変更し、植栽密度を高め、排水システムを改善した。


 プルミエ・グランクリュ・クラッセAに格上げされた2012年に娘のステファニーをCEOに任命し、シャトーの建物を全面改修した。有名な鐘楼はこの時に建設された。2018年から有機栽培に転換し、サンテミリオンでいち早く光学式選果機を導入した。


 2016年にはステファニーの曾祖母ブーシェにちなむカベルネ・フランの古樹100%の「オマージュ・ア・エリザベス・ブーシェ」がデビューした。ブーシェはカベルネ・フランの古いクローンの名前だが、エリザベス・ブーシェの名前は本名だ。


 話題にことかかないシャトーだが、テイスティング・ルームも高級ホテルのラウンジのように刷新された。2021年から技術責任者を務めるヴァンジャマン・ラフォレと試飲した。


 ボルドー大学で分子生化学を修めて、2017年にアンジェリュスに参画した。ジャック・フレデリック・ミュニエが好きだというブルゴーニュのヴィニュロンのようなパレットの持ち主だ。2000年代の芳醇でトースティなワインから、しなやかで優雅なワインに進化させた。


 2025年の夏は乾燥して2度の熱波に見舞われたが、8月末の雨によってバランスが保たれた。収穫は9月10日に始まり、20日に終えた。


 「トロワ・ダンジェリュス 2025」(No 3 d'Angelus 2025)はメルロー90%、カベルネ・フラン10%。スミレ、ダークチェリー、ザクロ、オレンジの皮、生き生きした酸味、チョーキーなタンニン、明るくて力強い。程よい凝縮感、ふくよかでアプローチゃブル。90点。


 「ル・カリヨン・ダンジェリュス 2025」(Le Carillon d'Angelus 2025)はメルロー90%、カベルネ・フラン10%。フローラルでレッドチェリー、ボイセンベリー、バラの花弁、ジューシーでしなやか、繊細な酸味。輪郭ははっりしていて、洗練されている。ブルゴーニュを思わせるエレガントな味わい。92点。


 「シャトー・アンジェリュス 2025」(Chateau Angelus 2025)はメルロー50%、カベルネ・フラン50%。ダークチェリー、ブラッドオレンジ、メントール、純粋で活気があり、透明感に包まれる。しなやかで甘いタンニン、心地よい塩気を帯びていて、酸、タンニン、果実すべての要素がシームレスに調和している。緊張感が持続し長く芳醇な余韻につながる。SO2は添加せず、窒素ガスを添加している。メルローはタランソーのフードルで熟成している。97点。


 

吊り下げられた逆円錐型ステンレス発酵槽が輝く醸造所
カリヨン・ダンジェリュスで既に導入されていた逆円錐型ステンレス発酵槽
高級ラウンジのように広いテイスティング・ルーム
左から、ヴァンジャマン、ユベール、ステファニー

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