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活力あふれるラ・グラン・ダネ 2018、200周年に向けて加速する「ボランジェ」(シャンパーニュ2026)

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 ピノ・ノワールにフォーカスして樽発酵の伝統を守り続けるボランジェ。2029年の創業200周年を前に樽熟成庫やホテルの新設などプロジェクトが盛りだくさんだ。グローワー的な個性を有する優れたメゾンであるアイの本社を訪問して、ラ・グラン・ダネ 2018をいち早く試飲した。


 ラ・グラン・ダネ 2018は3月に英国でリリースされ、日本では6月にメディア向け試飲会が開かれて市場に投入される。2013年に亡くなったセラー・マスターのジル・デコートが手掛けた最後のヴィンテージだ。


 2018年の冬は雨が多く、うどんこ病の発生リスクが高かった。開花は平年より10日早い6月1日。その後は乾燥してうどんこ病のリスクは軽減し、夏が温かかった。フェノールの熟度が高く、果汁は凝縮された。8月23日に収穫が始まった。


 19のクリュからブレンドされた。主にヴェルズネイ、アイ、マレイユ・シュール・アイのピノ・ノワール66%とアヴィーズ、シュイィ、キュイのシャルドネ34%の構成。グランクリュは73%で、プルミエクリュは37%。


 「ボランジェ ブリュット ラ・グランダネ 2018」(Bollinger Brut La Grande Annee 2018)はレッドチェリー、黄桃、オレンジの皮、ミント、けずった鉄、なめらかなテクスチャー、肉厚でしっかりした構造。ジューシーな果実味は豊かで、活力のある酸と熟したフェノールが調和している。集中力とエネルギーがあふれている。デゴルジュマンは2025年8月。ドザージュは6g/L。96点。


さらに熟成可能なボランジェ R.D. 2008


 「ボランジェ R.D. 2008」(Bollinger R.D. 2008)はピノ・ノワール71%、シャルドネ29%。ネクタリン、アプリコット、カキ殻、アップルタルト、深みのある果実味、どっしりした骨格、キレのある酸味が優雅さをもたらしている。洗練されたフェノールがもたらす深みがあり、エキゾチックな味わい。ほろ苦さが溶け込んでうまみを帯びたフィニッシュが長く続く。きわめてワイン的。3年前にメゾンで飲んだものよりデゴルジュマンは2年遅く、フィネスとエレガンスが加わっている。2008は21世紀で最良のヴィンテージの1つ。熟成でさらに複雑さを増すだろう。ピノ・ノワールは主にアイとヴェルズネイ、シャルドネはル・メニル・シュール・オジェとクラマンを中心に18のクリュをブレンドした。デゴルジュマンは2024年10月。ドザージュは3g/L。98点。


 デビュー作「R.D.1952」は1967年に発売された。今や当たり前のデゴルジュマンの日付を最初に明示したシャンパーニュだった。マダム・エリザベス(リリー)・ボランジェがアイのメゾンで食事をする時、ドザージュをせずにア・ラ・ヴォレで抜栓した古いヴィンテージを客に供していた習慣から生まれた。


 澱との長い接触が生む古いヴィンテージのテクスチャーや豊かさ、幅広いアロマを備える一方で、デゴルジュマン(オリ抜き)直後のフレッシュな表情をとらえるのがR.D.のアイデアだった。「Recemment Degorge(Recently disgorged)」の略称をブランド名にしたのは、「最新」に意味がある。


 ほかのメゾンが近年、世に出す「Late disgorged」のキュヴェは、オリと共に長く熟成させた進化の過程を重視している。R.D.を創造した際の重層的なエネルギーの放出とは意味合いが微妙に異なる。R.D.は発売当初はフレッシュで表現力があるが、少し時間がたつと酸素を消化して還元的になる。


 ボランジェは変化に乏しい伝統的なメゾンのように見えるが、ファイン・チューニングを続けている。2008年に細長い首のボトル形状に切り替えた。首の直径が29ミリから26ミリになり、酸素の侵入が減った。10年間でボトルに入る酸素の量を14%減らしたという。


 2014年からディスゴージ(デゴルジュ)の際にジェッティングをしている。ワインをごく少量加えて、瓶首の酸素を押し出す。これによって、熟成の安定感が増す。樽醸造で微妙に酸化させているが、熟成過程では酸化を抑えているのだ。


 樽醸造という点で、ボランジェはクリュッグと比較されるが、ボランジェのヴァン・クレールはクリュッグよりも長い樽熟成期間を経ている。アイとアヴネイ・ヴァル・ドールの南向き斜面の熟したピノ・ノワールに重点を置いており、より筋肉質なワインに仕上がる。


 メゾンはラ・グランダネ 2008の発売は通常の半分の1年で終えて、R.D.向けに大量のボトルを確保していた。2009年の瓶詰めから、ディスゴージして2023年3月に発売するまでの期間は約14年間。長期熟成力が明白だったのでR.D.1952とほぼ同じ期間、熟成した。


 ボランジェは「ヴィエイユ・ヴィーニュ・フランセーズ」(VVF)の弟版として、ブラン・ド・ノワールのノンヴィンテージであるPN シリーズに取り組んでいる。


 「ボランジェ ピー・エヌ ティー・エックス20」(Bollinger PN TX20)は2020年をベースにトーシエール(Tauxieres)のテロワールを主体に、アイとアヴネ・ヴァル・ドールをブレンドした100%ピノ・ノワール。マグナム瓶熟成の2012と2008、タンク熟成の2019のリザーヴをブレンドしている。ストロベリー、タンジェリン、ラベンダー、焼いたパン、ふくよかな果実味。肩幅が広く、彫りが深い。ボランジェらしい力強さと構造を備えたブラン・ド・ノワール。肉厚で活力があふれている。ボランジェ入門にふさわしい。93点。


 ボランジェはグラン・ダネを瓶詰めできない年は、代わりのキュヴェを少量生産する。2016年はかびが発生してアイから十分な果実が収穫できなかったため、B16をリリースした。


 「ボランジェ B16 2016」(Bollinger B16 2016)はピノ・ノワール73%、シャルドネ27%。ピノ・ノワールは主にブージー、トーシエール、ヴェルジー、ヴェルズネイ。柔らかい口当たり、クランベリー、ミラヴェルプラム、ブリオッシュ、フローラルで、キレのある酸。生き生きしている。デゴルジュマンは2024年11月。ドザージュは4g/L。92点。


施設刷新と持続可能な取り組み


 ボランジェはあまり主張しないが持続可能性を重視している。2023年に社会や環境に配慮した企業活動を評価する国際認証のB Corpを取得した。VVフランセーズを生むクロ・サンジャックにはアグロ・フォレストリーを導入している。オークが育つキュイの歴史ある森を買って、将来の樽醸造を見据えた森林育成を行っている。有機栽培への転換も進めている。


 200周年に向けて5000樽発酵できるシャンパーニュで最大規模の樽発酵セラhttps://www.winereport.jp/archive/5571/も完成に向けて工事を進めている。2028年には20室の高級ホテルも完成予定。その動きに目が離せない。

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